教育の特色キャンパスライフ学部・大学院教員入試・オープンキャンパス・アクセスなど広島大学について16広島大学にどんな分野の研究者がいるのか、キーワードや「ジャンル」・「SDGs」などから見つけることができます。高校生の皆さんもぜひご活用ください。さんは、高校の理科の授業で、金属の中には水や空気中の酸素と反応して酸化物を作るものが多いことを学んだと思います。アルカリ土塁金属から遷移金属といった多くの元素が金属酸化物を形成します。古代の土器やガラス製品への利用から金属精錬の原料への応用まで、私たちの祖先は、生活を豊かにするために金属酸化物を使ってきました。 私は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)やバナジウム(V)といった遷移金属が作る酸化ジャンルから探す“社会と暮らし”や“平和問題”などのジャンルから検索SDGsから探すSDGs17の目標から検索物分子に興味を持って研究を行っています。最も面白いと思っている点は、組み合わせる元素や合成条件を変えることで、さまざまな構造を持つものが合成できるところです。球状、円盤型、サッカーボール型と、実に多彩な形の化合物ができます。新しい化合物を合成し、その構造を明らかにすることには時間と努力が必要ですが、ほれぼれするほど美しい構造を持つものに出会うことも多いです。さらに面白いところは、この美しい化合物が世の中の役に立つ機能を併せ持つという点です。金属酸化物分子は、強い酸性質を示したり、電子を授受する酸化還元性を示したりします。これらの特性により、現代生活に重要な化学物質を製造する触媒として利用することができます。 また、普通の光学顕微鏡では見えないウイルスを、電子顕微鏡を使って見るための染色剤としても利用することが可能です。これは、タングステン(W)やモリブデン(Mo)といった元素の重さを利用した応用です。最近では、私たちが合成した化合物を利用すると、新型コロナウイルスの写真をきれいに撮れることも明らかにしました。 化学を学べる学部は、理学部、工学部、教育学部など多岐にわたるため、化学に興味を持つ高校生の皆さんはどの学部を選べばよいか悩むのではないかと思います。工学部の場合、目的は“具現化の探求”です。ウイルス、戦争、自然災害など、世の中には自分たちの力ではどうしようもないことが多くあります。その中で、限られた資源をより有効に利用して、社会からの要請や課題を解決するための具体的方策を科学的知識に基づいて検討し、実現化するのが工学部です。化学を使って世の中の役に立ちたいという人はぜひ、工学部の化学に来てください。私の研究室では、海外の研究室とも多くの共同研究を行っており、研究室の学生は、海外の研究機関に留学する機会も多くあります。早くコロナが収束し、学生が研究留学へ出発する姿を見る日を心待ちにしています。[日本語版]https://www.guidebook.hiroshima-u.ac.jp/工学部先進理工系科学研究科 教授無機化学、金属酸化物、触媒、ウイルス染色剤[英語版]https://www.guidebook.hiroshima-u.ac.jp/enPOMの化合物は重いため、ウイルスに付着させると、足などの細部まで鮮明な撮影が可能な電子顕微鏡用ウイルス染色剤としても応用できる。定金教授が扱うポリオキソメタレート(POM:金属酸化物分子)の多面体表示。POMは液体でも固体でも強い酸性を示し、硫酸よりも酸性度が高いため工業触媒として幅広く使われ、メタクリル酸の製造にも用いられる。メタクリル酸は、透明度が高く丈夫なアクリル樹脂(水族館の透明水槽、コンタクトレンズ、照明器具、自動車のヘッドランプカバーなどに使われる)の原料として重要だ。SADAKANE MASAHIRO専門研究分野キーワードで専門家を探せます!研究者ガイドブック100年後にも世界で光り輝く大学へ ▼▼▼世界をリードする研究者定金 正洋皆世の中の役に立つ新しい金属酸化物分子を合成する。
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