広島大学で何が学べるか2023
11/84

教育の特色キャンパスライフ学部・大学院教員入試・オープンキャンパス・アクセスなど広島大学について10然界には、電磁気力、弱い力、強い力、重力という4つの力が存在します。これらの力は宇宙が誕生した時には、もともと一つだったと考えられています。これを証明するには、 4つの力を同じ原理で統一的に説明する必要があります。物理学は現在、これらの力を統一する「究極の理論」の構築を目指して進んでいます。その障壁は、ブラックホールなど非常に大きな世界を扱う相対論と、原子などの小さな世界を扱う量子論を統一するところにあります。とても大きいものと、とても小さいものを統一的に記述するのは、難しいというわけです。ホーキング放射は、ブラックホールで起きる量子現象で、二つの学問の橋渡しとして注目されています。 ブラックホールは強い重力が働く天体で、最も速い光でさえもそこから抜け出すことはできないと考えられてきました。しかし、1974年にホーキング博士はそれまでの常識を覆し、何も放たれるはずのないブラックホールから、量子効果によって粒子が放射されることを予言しました。この放射はホーキング放射と呼ばれ、この観測が相対論と量子論の統一の鍵となります。しかしホーキング放射は微弱で、実際のブラックホールから観測することは極めて困難です。 そこで私たちは、宇宙に存在するブラックホールを電気回路の中に作る研究を行いました。これは、実際のブラックホールでは観測できないホーキング放射を、電気回路の中で観測しようとするものです。そのアイデアは鯉の滝登りで理解することができます。滝の上流では流れが穏やかなのに対し、下流では流れが速くなっています。つまり上流と下流で速度が異なり、ある場所で鯉が登れない場所があります。これより下流がブラックホールに対応します。したがって、このような流速が場所によって変化するシステムを人工的に作ることで、擬似的にブラックホールを作ることができます。私たちは、電気回路中の電磁波の速度を場所によって変えることによって、流れが変わる滝を再現しました。また、この電気回路は技術の発展によりかなり小さく作ることができ、そこでの物理法則は量子論に従うので、量子論が語るホーキン流れ科学技術分野で活躍する意欲のある女性の博士課程後期学生を「理工系女性リサーチフェロー」として採用し、研究専念支援経費(生活費相当額)と研究費を支給し、研究に専念できる環境を提供します。さらに博士課程後期に進学する意欲を持つ博士課程前期の学生への支援も行い、支援を受けた学生が本学の博士課程後期に進学した場合は、「理工系女性リサーチフェロー」への採用を保証します。グ放射を考えることができます。そして、この電気回路でホーキング放射が観測可能であることを理論的に示すことに成功しました。  この成果は相対論と量子論の統一への大きな一歩になるとともに、宇宙で起きている謎を手元で検証する舞台を与え、自然の真理に近づくことを可能にします。「自然界に潜む法則を知りたい」という思いが私の研究の原動力です。 研究職を目指すにあたり、女性は結婚や出産などのライフイベントでキャリアにブランクが生じる可能性があるため、男性よりも不利なのではと懸念し、以前は自分が女性であることをポジティブに捉えることができませんでした。しかし今は、女性研究者を支援するさまざまな制度があることを知り、そうした支援を活用しながら、自分らしく研究を続けたいと思うようになりました。今後も、新しい時代を切り拓くワクワクする研究に取り組んでいきたいと考えています。総合科学部大学院先進理工系科学研究科 助教何も放射されないはずのブラックホールから、量子効果によってホーキング放射が起きる。ブラックホールは、滝を登る鯉が速い流れに負けて流されてしまうことに例えることができる。本学総合科学部を卒業後、修士課程を経て先進理工系科学研究科に進学し、博士課程を修了。今年度から本学の教員となった片山助教は「かつては高校教員になろうと考えたこともあり、教育と研究の両方に携わる大学教員は、自分にとってベストな進路だと思う」と語る。抜け出せないブラックホール速度の空間依存性理工系分野の女性大学院生を対象とした奨学金制度広島大学女性科学技術広島大学女性科学技術フェローシップ制度フェローシップ制度KATAYAMA HARUNA専門研究分野量子力学ホーキング輻射ブラックホール事象の地平線100年後にも世界で光り輝く大学へ ▼▼▼世界をリードする研究者片山 春菜自「究極の理論」構築へ。電気回路の中に宇宙をつくる。

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る