湯淺 梨奈中国新聞社・記者さん総合科学部2年さん藤島 華Report学生広報ディレクター取材をさせていただいた日も地域の人を見掛けると気さくに声を掛ける姿が印象的でした。大学時代に積極的に行動したことが現在につながったのではないかという話もうなずけました。私も友人や先生方との関係を大切にし、興味のあることに恐れず飛び込んでいくつもりです。 現在、新聞記者として取材と執筆を担当。事件・事故を取材するだけでなく、町の中を歩いてネタを探し、記事として発信しています。この仕事のやりがいは問題を抱える人の話を聞き、記事にすることで社会問題を広く知らせることができる点です。それにより解決に向かえば良いと思います。例えば、不法投棄で荒れてしまっていた福山市の堂々公園。不用品を捨てにくくするために、地元の人々が2008年に彼岸花の球根を植え始めました。これを取材し記事として取り上げると、地元を巻き込んだ継続的な活動が生まれ、不法投棄防止に成功。今では毎年花開くのが楽しみな公園になっています。 私が報道関係の仕事に就こうと思ったのは、在学時代に東日本大震災の被災地を訪問し、実情を目の当たりにしたからです。「性被害に遭っている女性が多いのに、メディアが取り上げてくれない」という話を現地で聞きました。避難所生活を送る弱い立場の被害者はそれを言い出せず、事実は隠されたまま。このことを知り、声なき声を世の中に伝え、再発を防止したいという思いで報道の世界を目指しました。 大学院では土砂災害の被災者の調査研究に取り組みました。その活動の一環で西日本豪雨災害の被災地を歩き、被災体験を聞き取って回りました。災害によって、新たな犠牲者を生まないようにと、それらをまとめた本の出版に携わったことも今の仕事に就くきっかけになったと思います。 学生時代は、機会があれば、国内外を問わず訪問し、その町の人と話し、視野を広げようと意識していました。興味があることは何でもチャレンジしましたね。トラックで被災地への旅、1年間のイギリスへの留学とインターンシップ、社会人と一緒にビジネスを考える産学連携のEDGE(ひろしまアントレプレナープログラム)への参加、マレーシア熱帯雨林調査、SDGs関連の活動でインド訪問、東広島市福富町のまちづくりサークルでの活動など、挙げればきりがありません。 広大には留学や起業のための多彩なプログラムや助成制度があり、学生を支援してくれます。私もさまざまな機会に活用させていただきました。チャレンジしたことが今に生きているので、後輩の皆さんには積極的に大学の制度を活用してもらいたいですね。学生の特権は大きいです。学生だから訪問できる場所、会える人、体験できることの可能性は無限にあります。社会人になると、肩書きで評価されることが多くなるような気がします。自分がしたいことをまだ見つけられない人もいるかもしれません。無理に探さなくても、いろいろなことに挑戦しながら模索してみてほしいと思います。きっと広大も応援してくれます。(備後本社勤務中の2021年1月に取材)現場に足を運び、記事として発信社会問題の解決につなげたい大学のプログラムや助成を活用学生時代の挑戦が今に生きる総合科学部・大学院総合科学研究科 出身ゆあさ・りな/広島大学総合科学部2017年卒業・大学院総合科学研究科博士課程前期2019年修了。中国新聞社(広島市)に入社、福山市の備後本社で主に警察担当として、事件・事故・火災・裁判の取材・執筆に当たった。2021年4月より本社のヒロシマ平和メディアセンターで原爆・平和担当。20Hiroshima University Magazine
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