HU-plus (vol.14) 2021年度1月号
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亀井 芽里株式会社SHEEPS 代表取締役さん情報科学部1年さん羽角 由雅Report学生広報ディレクター会社を存続させるために会社の壊され方を知るという言葉がとても印象的でした。また自分たちの仕事には誰かの人生が掛かっているという思いを持ち、取引先と真摯に向き合う姿には熱意を感じました。エネルギッシュな亀井さんへの取材を通して自分自身の将来ついて改めて考えさせられました。 最初は夫の経営する行政書士事務所で顧客企業からの依頼を受け、外国人労働者の在留資格の申請をしていました。その業務の中で聞いたのが、社宅の準備に困っているという話です。在留資格の申請と合わせて社宅の仲介をすれば、スムーズに外国人労働者の方に働いてもらえるのではと、株式会社SHEEPSを立ち上げました。3年後、人の紹介もしてほしいという顧客企業のご要望に応え、人材不足の企業と日本で働きたい外国人をマッチングする有料職業紹介事業所「アメリオワークス」を始めました。法務省が認可する登録支援機関として、新しい在留資格の「特定技能」を持つ外国人についても受け入れ企業と共に支援するなど業務範囲を拡大しています。 会社のモットーは「お客さまに求められるサービスを創出・提供し続ける」。お客さまが必要とするなら、誰もやったことがないことでも、新しく会社を立ち上げてやる。1回だけ偶然できるサービスではなく、安心してご利用いただくために継続的にできるサービスしか提供していません。感謝の絵手紙を頂いたこともあります。 今の仕事の原点となったのは広島県福山市で過ごした幼少期の体験です。近くの造船所で多くのブラジル人の方が働く姿を見て、外国人が日本で働いていることに興味を持ちました。造船所の近くに開業した中古自動車店は、語学力を生かして繁盛していました。人がやっていないことをするのには価値がある、仕事は自分で作り出すことができると気付きました。小学校6年生の時です。 今年、東広島市が主催する起業応援プログラム「起業道場」に参加し、市長賞をいただきました。マスコミの取材を受けるなど予想以上の反響がありましたね。私が立案した高度外国人材の紹介事業の事業計画に対して、さまざまな分野の経営者の方々からご意見をいただきました。この事業はこれまでの延長線上で、需要も供給も見込めており、誰が聞いても「やればいい」と言う計画でした。ある方から、この事業をどうやって壊すかという視点がないと言われ、1週間くらい考えましたね。どうすれば壊れるのか、それを防ぐことができれば、盤石になるのだと。顧客は順調に広がっていたのですが、宣伝は行っておらず口コミ頼りでした。つまり口コミをしてくれる人を仲間にしないと壊れると気付きました。顧客に満足いただくことがいかに重要かを再認識できましたね。 最近、やりたいことが見つからないという若者の声をよく聞きます。私は10年後の自分をイメージし、今日1日をどう過ごせばいいのか考えていました。10年が経った時、想像していなかった景色が見えます。具体的な仕事でなくても、こんな暮らしがしたいなど、夢があればいいと思います。お客さまのニーズに応えるために新しい分野に次々と挑戦自社を壊す視点を持つことで強みに気付いた総合科学部 出身かめい・めり/広島大学総合科学部2001年度卒業。夫が代表を務めるシープス行政書士事務所で外国人の在留資格の申請などを行う。2017年、株式会社SHEEPSを設立し、外国人労働者の住宅探しなどの支援のため、宅建業を開始。2020年有料職業紹介事業所アメリオワークスを開始。高度人材、特定技能、外国人材の紹介を行う。同年、東広島市主催の起業を目指す若者たちを支援するプログラム「起業道場」において高度外国人材の紹介事業を発表し市長賞を受賞。20Hiroshima University Magazine

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