HU-plus (vol.14) 2021年度1月号
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山本 透 (やまもと とおる)教授コベルコ建機夢源力共創研究所キーワード:油圧ショベル、制御アルゴリズム、ヒューマンインターフェース、デジタルトランスフォーメーション人数:学部生6人、大学院生13人、教員20人、コベルコ建機(株)社員30人、事務員2人その他連携部局等:大学院先進理工系科学研究科、デジタルものづくり教育研究センター設置:2018年DATA 建設現場で活躍する油圧ショベル。シンプルに見えて、なかなか思い通りに動かず操縦は難しいのだそう。広島大学構内にあるコベルコ建機夢源力共創研究所は、広島市内に開発拠点を持つ大手建設機械メーカーであるコベルコ建機との共同研究施設。「人にやさしく、人が成長する」油圧ショベルの開発に取り組んでいる。例えば、現場と離れたオフィスから遠隔操縦をする研究や、オペレーターが自然とスキルアップできる操作支援の研究である。これらの研究は労働環境の改善や高い作業効率を実現し、将来的に労働力不足という社会問題の解決につながるとされている。 所長の山本教授(先進理工系科学研究科)は産学連携のイベントを機に、2007年よりコベルコ建機との共同研究を行っていた。2015年に共同研究講座を開設。コベルコ建機の技術者が出向教員として常駐するようになり、研究が加速。さらに研究を発展させるため、広島大学の「民間企業等外部機関の研究所制度」の第一号として2018年にコベルコ建機夢源力共創研究所が設立された。「研究所となったことで、横の広がりが生まれました。コベルコ建機の複数の部署から技術者が出向されるので、幅広い分野の研究とより深いレベルの産学連携が実現できます」と山本教授は話す。 研究所には3つの共同研究講座があり、制御技術やヒューマンインターフェース、データ解析などの研究を行っている。また、これとは別に7つの共同研究を実施している。研究所で開発した手法をシミュレーターで試した後、実際に油圧ショベルを用いて検証データを収集する。「毎週ミーティングを行い、研究所の風通しは良好です。研究力は年々向上しており、レバーの操作性や座席の形状など、すでに製品化された研究成果もあります」。研究所は相互の人材育成の場にもなっている。コベルコ建機からの出向教員は研究所在籍中に博士学位を取得。学生にとっては学内インターンシップとしての役割を果たしている。 「夢源力共創研究所という名前には、それぞれの『夢』を『共創』し、夢を実現しようとする思いを『力』の『源』として、世の中を創っていくという意味が込められています。誰もが簡単に使える油圧ショベルの研究を通して、建設業界を変えていきたいです」シミュレーターを操縦している様子(山本教授:左から2番目)む げんりょく誰もが簡単に使えて成長する、夢の油圧ショベルを開発産学連携のロールモデルを目指す企業とのタッグで、人にやさしい世の中を創る12team18Hiroshima University Magazine

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