だしをとったり、酒のつまみにしたりと食卓になじみの深いニボシですが、ニボシをじっくりと観察する機会はなかなかないのではないでしょうか。知を鍛える―広大名講義100選―の一つ「ニボシの解剖で脊椎動物の体のつくりを学ぶ」では、ニボシをつまようじで解剖し、体のつくりを観察します。カタクチイワシから主に作られているニボシ。広島ではコイワシの名前で親しまれています。背中から二つに割ってよく見てみると、脳や背骨、臓器が確認できます。 ニボシの解剖は、この講義を担当する富川准教授が生物に親しんでこなかった学生に興味を持ってもらうために授業で取り入れていたもの。解剖する際の心理的抵抗が少ない上に、乾燥しているのでパーツが外しやすく、組織のまとまりが分かりやすいという特徴があります。「せっかく大勢の人に見てもらえるのであれば、単なる座学ではなく、視聴者の方が自宅でも簡単に取り組めるような内容にしたかったのです」と富川准教授は語ります。 普段の授業では、ニボシの解剖だけではなく、屋外に出てキャンパスの生き物に触れることもあります。今まで興味がなかったものでも、実際に触れてみると見方が変わり、新しい発見が生まれることもあるでしょう。「世界は面白いものであふれています。楽しみながら身近な事柄を見る目を養い、さまざまなことに疑問を持てるようになってほしい。そして、興味を持ったことを研究することで、研究の視点を教育現場に生かせる教員を養成していきます」と富川准教授は力を込めます。新型コロナウイルスの影響により学びの場が少なくなる中、興味の幅を広げるきっかけづくりを目的として、広島大学の教員がさまざまな授業の動画をYouTubeで公開しています。学生がおすすめする広島大学の「ぶち」おもしろい講義を各回ご紹介します。今回は広大名講義100選から人気の講義をピックアップしました。視聴はこちら▶広大講義ニボシの解剖で脊椎動物の体のつくりを学ぶニボシの中身を観察!身近なものから新たな気付きを見つけようとても(広島弁)vol.06【】知を鍛える-広大名講義100選-とは?Student’s Voice!ボディプランに基づく動物の形態進化を学び、生物の共通性と多様性を認識する視点を得ました。大学院教育学研究科 博士課程前期2年さん西 琴子教育学部の1年生が対象の授業。生物の分類や系統、生態などを学べる。高校で生物を履修していなかった学生でも興味を持って取り組めるよう、フィールドワークや標本の観察、解剖などを積極的に導入している。生物とその多様性のリテラシーⅠ富川准教授が担当する授業 :担当教員:専門分野:富川 光 准教授基礎生物学/分類学(大学院人間社会科学研究科)14Hiroshima University Magazine
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