HU-plus (vol.14) 2021年度1月号
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学問の探求教授が答える、社会の“?”研究成果を社会へ還元広大教員が近著を語る13ポスト・コロナの学校教育教育者の応答と未来デザインくさはら・かずひろ/専門分野は教科教育学。教育ヴィジョン研究センター(EVRI)草原 和博 教授よしだ・なりあきら/専門分野は教育方法学。草原教授(左)吉田准教授(右)吉田 成章 准教授コロナ禍で生まれた教育の理論と実践を1冊に溪水社教育学 新型コロナウイルスの感染拡大は、学校の一斉休業を引き起こし、教育に多大な影響を与えました。教育現場からの多くの相談に応える形で、教育ヴィジョン研究センター(EVRI)では4月からオンラインセミナーを開始。反響は大きく、初回は全国から185人もの参加者がオンライン上で集まりました。 セミナーでは、現場の教員が実践事例を持ち寄り、課題解決のための提言や議論を実施。本書は、これまでのセミナーで蓄積された理論と実践を集大成としてまとめました。歴史的にも価値のある1冊となったと感じています。 コロナ禍は私たちに「教育に対して誰が責任を負うのか」を問いかけました。教育は学校だけではなく、家庭や塾、学童保育など多様な領域が担っています。今後はそれらの役割を見つめ直し、いつでもどこでも学べる環境づくりに取り組まなくてはならないでしょう。2020年は、教育がこれからどう変わっていくのかという方向性を見据える1年でした。 学校が再開された現在も、非接触型のコミュニケーションやICTの活用など、現場ではさまざまな課題が挙がっています。それらを解決するために、そしてポスト・コロナ時代の教育を考えるために、教員や教育研究者の方にはぜひ本書を活用いただきたいです。 教育ヴィジョン研究センター(Educational Vision Research Institute、略称「EVRI」)は、2つの役割を担っている。1つ目は、人間社会科学研究科の附属施設・センターとしての役割。教育学・教科教育学・心理学等を横断する教育、社会貢献、国際交流を促進する。また同時に、教育に関する制度・政策・実践を提言できるシンクタンクを目指す。2つ目は、広島大学のインキュベーション研究拠点としての役割。プロジェクト型の学際的研究を推進し、次世代の教育ヴィジョンをデザインできる実践的研究者の育成に努めている。 EVRIでは、コロナ禍以前も毎月数回のペースでセミナーを開催し、研究成果を社会へ還元する取り組みを重ねてきた。「“教育”は教育学研究者だけの学問分野ではありません。医学や工学などあらゆる研究者が、分野を横断して取り組めるテーマだと考えています」と語るのはセンター長の草原教授。センターの今後の目標は、教育の新しいカタチを構想し提言するのはもちろん、異なる専門の研究者同士をつなぎ、研究の場を学内外へ広げていくことだという。「教育について困りごとがあれば、どなたでも歓迎します。気軽にセンターの門を叩いてほしい」 EVRIは、コロナ禍で新たな課題が浮き彫りになった今、学問領域や国境の垣根を超えた、新しい教育の提言と実践に取り組んでいる。http://evri.hiroshima-u.ac.jp/詳細はこちら▶学内外の研究者と教員をつなぎ、次世代の教育を探究する研究センター

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