HU-plus (vol.13) 2020年度8月号
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茶道上田宗箇流家元・上田宗冏氏と語る越智:今回は、対談を実現できて光栄です。まず、子ども時代をどのようにお過ごしになったかお聞かせいただけますか。上田:母が鷹野橋(広島市中区)の商店街に小さな店を出しておりまして、その2階の住居で、母と兄と姉と私の4人で暮らしていました。小学校の入学前くらいから12年間ほどです。母の実家が上田家で、その頃に先代家元である伯父に茶道を習い始めました。下町のガキ大将だった私がそのまま成長してしまうことを心配したんでしょうね。ある日、母が2階の1室に炉を切りました。寝室、食事室、勉強部屋を兼ねていた8畳の部屋を、毎週1回茶室として上田宗箇流家元上田 宗冏うえだ・そうけい/1945年生まれ。広島県広島市出身。慶応義塾大学経済学部卒業後、広島銀行に勤務。1995年上田宗箇流家元を継承。各地の茶室などを監修。国内のみならず海外でも講演・茶会を多数行う。2008年広島市民賞受賞。2009年中国文化賞受賞。2015年広島市被爆70周年記念事業で上田宗箇流平和公園茶会を行う。自分に執着しない、他の人に耳を貸す柔軟な心を持ってほしい。原爆の惨禍を越 え茶の心を未来へ 毎週1回茶室に変身茶道上田宗箇流十六代家元上田 宗冏氏越智 光夫特別講義「世界に羽ばたく。教養の力」の講師として教壇に立っていただいた上田宗冏氏と越智光夫学長が対談。茶道の家元として受け継いできた精神と伝統文化についてお聞きし、現代を生きる皆さんへのメッセージをいただきました。広島大学 学長03

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