HU-plus (vol.13) 2020年度8月号
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佐藤 陽子 (さとう ようこ)看護部長広島大学病院 看護部キーワード:地域包括ケア人数:看護師886人、助産師27人、看護補助者32人、医療補助員18人、事務職員1人その他連携機関:広島県看護協会DATA 広島大学病院の看護部は、総勢約950人から成る。「急性期医療に終始するだけでなく、患者さんの退院後の生活を見据え、患者さんに寄り添った看護の実践を大切にしています」と佐藤陽子看護部長(写真右から3番目)。 そこで重要となるのは、部署内・部署間の連携である。看護単位(病棟ごとに分かれた看護部内の部署)をまたぐ円滑な組織運営のため、毎週各看護単位を回ってスタッフに声を掛ける。「部署から上がってくる報告を待つのではなく、自分の目で現場を見ておきたいと思い、副看護部長の頃から始めた習慣です。自分たちが立てた方針が誤解なく伝わっているか、現場で何か問題が発生していないかを確認でき、迅速な課題解決につながっています」 そのチームワークは、コロナ禍でも発揮された。第一種感染症指定医療機関の広島大学病院は、感染症重症患者を受け入れ、院内での療養環境の見直しやソーシャルディスタンスの確保を行った。「患者さんたちに混乱が生じないよう、部署間での情報共有の徹底と対応の統一化を図りました。また、職員たちがストレスを抱え込まないよう、対応に当たった病棟には足しげく通い、現場の声を聞くようにしました」 広島大学病院が長年力を入れているのが、人材育成だ。新人看護職員研修の体制を10年程前に整備し、院内独自の指導者資格認定制度を確立。指導者育成も欠かさず行うことで、指導を受けた若手が指導者として育つ好循環を築いている。「当院は、勉強に意欲的で教育熱心なスタッフが多く、研修にも積極的に参加してくれます」。教育体制の充実を理由に広島大学病院への就職を志望する学生も多く、新卒採用者の定着率は全国トップクラスだ。また、院内の「看護実践教育研修センター」を中心に地域の看護師向けの研修や講演会を開催し、ノウハウを発信することで地域医療に貢献している。 「今後は、地域包括ケアの推進と働き続けられる職場環境づくりにも取り組みたい」と意気込む佐藤部長。大学病院にも、時代の変化に応じた柔軟な体制が求められている。「私の任務は、職員が生き生きと働ける組織と制度を整えること。それが結果的に、質の高いケアの提供へとつながっていきます」看護部認定の資格を示すオリジナルバッジ人材育成とノウハウの発信で、地域医療の底上げに貢献職員の働きやすい組織づくりがより良いケアへとつながっていく患者さんに寄り添った        ケアを実践10team16Hiroshima University Magazine

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