HU-plus (vol.13) 2020年度8月号
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広島大学と東広島市が一体で取り組むまちづくり独自の教員活動指標を用いて貢献度を見える化広大SDGs2015年9月、国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」を盛り込んだ「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。SDGsでは、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っており、2030年までに地球全体で取り組むべき17の目標と169のターゲットを掲げています。広島大学でも、SDGs達成に向けて、研究や社会貢献などさまざまな取り組みがスタート。その一部をご紹介します。2015年9月、国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」を盛り込んだ「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。SDGsでは、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っており、2030年までに地球全体で取り組むべき17の目標と169のターゲットを掲げています。広島大学でも、SDGs達成に向けて、研究や社会貢献などさまざまな取り組みがスタート。その一部をご紹介します。第2特集 2020年1月、広島大学は東広島市と「Town & Gown 構想」を推進することで合意に至った。同構想は、欧米の事例を参考にしたもので、都市(タウン)と大学(ガウン)が一体となって魅力的な街づくりに取り組む一大プロジェクトだ。4月には学内に「Town & Gown Ofce 準備室」を設置。市と大学を横断した組織体制を築き、構想実施の準備に取り組む。 構想では、教員の研究・講義テーマと市の14ある部局をマッチングする「COMMONプロジェクト」や、データに基づいた政策決定に取り組む予定。幅広い専門性を備える総合大学の強みを生かし、AIやビッグデータを活用しながら、個別の課題解決にあたる。 また、海外の優秀な人材の誘致や若者の起業支援も積極的に行う。外国人との混住地区を開発すると同時に、起業しやすい仕組みを整えることで、世界から意欲ある若者を集め、頭脳循環を起こす狙いだ。 今後の意気込みについて、「多様な人々と共生する社会では、ダイバーシティの考え方が重要になります。都市の経済的な発展だけでなく、生活する人々の満足感、充実感も追求していきたい」と語る越智光夫学長。これに対し、髙垣廣德市長は「外国人が東広島で能力を発揮し、活躍できるような制度・仕組みを整えたい。そして、海外の起業家も巻き込みながら最新技術を取り入れた、インターカルチュラルなスーパーシティを目指したいですね」と意欲を示す。  本構想が成功すれば、大学と地方都市が連携した、持続可能な地方創生のモデルとして期待されそうだ。 広島大学は、IRを活用した大学経営のために開発した独自のAKPI®(目標達成型業績指標)に、SDGsの17のゴールを紐づけ、教育活動や社会貢献活動を含めたより広い視点で教員の活動を捉える試みを行っている。具体的には、教員の学術論文とSDGsキーワードをマッチングさせ、各教員のSDGsへの関わりを評価。算出したSDGsへの関与割合と2018年度のAKPI®ポイントを掛け合わせている。 教員の活動をSDGsに基づいて数値化するのは全国でもユニークな取り組みで、AKPI®を使って過去にさかのぼれるというのが最大の特長だ。2012年度からの経過を見ると、教員一人当たりの貢献度は徐々にアップしており、2018年度は2012年度の617.5ポイントに比べて103.9ポイント高い721.4ポイントとなった。今後は、より丁寧な分析や正確なマッチング方法を検討し、精度の向上に取り組んでいく。学生・教職員は高い関心意識調査を実施 2020年2~3月、山根友美研究員が広島大学の学生、教員、職員を対象に大規模なSDGsの意識調査を実施した。調査は、日本語と英語の2カ国語で作成し、インターネットアンケートを利用。2019年に続いて2回目となる今回は、1,039の有効回答が集まった。 調査結果によると、2020年の広島大学におけるSDGs認知度は、学生85.1%、職員73.8%、教員82.2%。特に学生の認知度が急上昇し、2019年56.6%から28.5ポイントもアップした。また、約80%がSDGsに積極的に取り組みたいと回答。半面、実際に研究や教育に取り入れている人は、その3分の2にとどまった。自分事として捉えている割合がまだ少なく、SDGsへの高い関心を、構成員一人一人の活動につなげていくことが重要となる。髙垣市長(左)と越智学長(右)09

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