HU-plus(Vol.8)2018年12月号
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害を研究テーマに、全学から研究者を集結し、分野融合型の調査研究を行って、研究成果を地域・社会に還元します。今後、国内外の有力研究機関とネットワークを形成し、世界トップレベルの研究拠点構築を目指します。●センターの今後の取り組み●地域との連携イメージ わが国は世界有数の「自然災害大国」と呼ばれていますが、近年、これまでになかった規模の地震や豪雨、強風、高潮などの激しい気象現象による自然災害が頻発しています。近年の気候変動を考慮すると、豪雨災害は今後も十分に起こり得ます。そのため、本センターでは、できる限り被害の発生や拡大を防ぎ、被災からの早期復旧が可能となるよう、実践的な研究を行うとともに、国内外の有力研究機関とネットワークを形成して、災害科学に関する最先端の研究を進めていきます。また、国や自治体、企業、地域住民などと積極的に連携を進め、研究成果を地域や社会に還元して各種政策などへ反映していくことにより、災害に強い社会システム、インフラを持つ街づくりに向けて貢献していきたいと考えています。 今回の記録的豪雨によって広島県では広範囲で氾濫・浸水が発生しました。堤防の破壊や越流による氾濫だけでなく、降雨の排水不良による浸水、堤防の護岸や河川沿いの道路、橋梁の破壊など、治水上の弱点が顕在化しました。防災・減災のためのハード、ソフト対策を見直す必要があります。その一つとして、河川管理に資するデータの一元管理を進めるとともに、本川や支川沿いの水位を可視化し、各地点での危険度や避難路の把握を容易にする、信頼性の高い解析ツールを作り上げたいと考えています。 今回の相乗型災害は広く交通インフラを襲い、甚大な被害が起きました。関西と九州をつなぐ幹線交通の機能が失われ、迂回交通が山陰側まで及びました。この経験を次に生かすために、どれだけ短い期間で被害を小さく抑えるか、そのためのデータのモニタリングに始まり、復興計画の立て方、手順、人の配置の仕方、協力の在り方までを研究し、国内はもちろん、アジアや世界でも活用していきたいと考えています。 災害時は最初に人命救助、その後けがなどの治療や診療、その後はリハビリや血栓予防など、必要な医療ニーズは刻々と変わっていきます。しかし、被害が大きい所ほどニーズの把握が難しい。そこで、医療班では時系列でのニーズをどう拾い上げて、どう人を派遣するかのモデルを自治体と一緒に作っていきたいと考えています。ニーズの把握さえできれば、広島大学には人命救助から通常診療、精神医療、感染までの専門家が全部そろっているので、必要なところに必要な派遣をすることが可能になります。センター内の様子河原 能久工学研究科 教授(河川工学)土田 孝工学研究科 教授(地盤工学)大毛 宏喜広島大学病院 教授(災害感染症学)藤原 章正国際協力研究科 教授(交通計画、交通工学)うかい相乗型豪雨災害研究分野相乗型豪雨災害研究分野センター長調査研究部門地域振興マネジメント研究分野地域振興マネジメント研究分野災害医療研究分野災害医療研究分野防災・減災研究センター開所式の様子研究者、施設、設備などの提供研究資料、研究者、経費などの提供防災共同研究●自治体・企業などと大学が連携して実施●研究内容に合わせた研究スタッフを配置●研究成果は共有●人文・社会・自然科学全ての分野《想定される分野》 •地域社会減災計画 •エネルギー防災 •ライフライン防災人材育成●研修会などの企画●講師派遣●情報発信など広島大学防災・減災研究センター自治体・企業008

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