HU-plus(Vol.8)2018年12月号
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考広大教育多様な社会・人のニーズに対応できる人材を育成アクセシビリティリーダー(AL)育成プログラム 個人や社会、環境や状況の多様性をよく理解し、アクセシビリティの推進により可能性を開拓できる人材を育てるために、広島大学ではアクセシビリティリーダー(AL)育成プログラムを開発し、2006年からカリキュラムをスタートさせました。すでに多くの学生たちが学び、その取り組みは全国の大学・企業へ広がっています。 「何か」に対する「アクセスのしやすさ」を意味する「アクセシビリティ(accessibility)」は、多様な利用者にとっての「利用しやすさ」や「参加しやすさ」といった観点で関心が高まっている概念です。近年、大学などで学ぶ学生や企業で働く人にも障害の有無や年齢、国籍などの多様化が進んでいるため、その必要性は年々高まっています。 広島大学では、全盲の学生と重度の難聴の学生の入学を機に支援体制の整備を進め、2001年に全国に先駆けて支援に関する実習を開講しました。その後、日本マイクロソフトとの共同活動の一環として、AL育成に関する教育プログラムと資格を開発。2008年、文部科学省の支援事業に取り組みが採択され、2010年以降、全国でAL育成プログラムが実施されるようになりました。 当初からこの取り組みに携わってきた山本幹雄准教授は「問題に直面した時に自ら考え、解決するためのスキルを身に付けてもらいたいです。多様性とアクセシビリティを掛け合わせるとそこに可能性が見えてくる。さまざまな分野、観点で可能性を切り開いていってもらいたいですね」と学生たちに期待を寄せています。アクセシビリティセンター山本幹雄准教授専門は物理、教育アクセシビリティ。2001年当初から取り組みに携わり、AL育成プログラムやアクセシビリティ支援に関する運営、開発を行う。受講した学生の声 小さい頃から自分に自信がなく、自分を変えたい、何かに苦手意識を抱える人の支えになりたいと思っていました。学内の掲示板でAL育成プログラムを知り、受講しました。 最初は「例えば視覚障害のある人にはどんな支援が必要か」と問われても想像できませんでしたが、講座や実習で多様性を学び、支援技術を知り、いろいろな人のアイデアを聞くうちに、想像力が培われ、自分の意見も言えるようになりました。 1級アクセシビリティリーダーの資格認定後はインターンシップとして、広島大学病院で入院中の高校生の学習支援に携わりました。また2泊3日のキャンプ(研修合宿)にも参加。全国の学生とグループでフィールドワークやプレゼンテーションを行いました。私たちのグループは「国際平和都市と観光地という広島の特徴を生かして、広島市民が外国人旅行者へのガイドという形で街づくりに参加するバディ制度を提案しました。異分野の学生たちが、専門知識と発想力で課題解決に取り組む過程はとてもやりがいがありました。人と一緒にものづくりをする力、協働する力が養われ、自信につながりました。 将来は、高齢者から子どもまで、人々の暮らしの中のアクセシビリティを良くしていくために、地域に関わる仕事がしたいです。多様性に触れ、自分が成長できたプログラム多様性に触れ、自分が成長できたプログラム教育学部3年高橋香奈さん(AL第12期生・1級AL)教育学部3年高橋香奈さん(AL第12期生・1級AL)「教育課程」「資格認定」および資格取得者を対象とした「キャンプ(研修合宿)」「インターンシップ」で構成される人材育成・活用プログラムです。アクセシビリティリーダー(AL)育成プログラム1級AL資格認定※12級AL資格認定※11級AL認定試験アクセシビリティ教育課程①オンライン講座②実習、講義2級AL認定試験①・②を修了①を修了※1 認定試験合格者は、広島大学の推薦を経てAL育成協議会(※2)によりAL資格を認定されます。※2 産学官連携により、2009年6月発足。全国でAL育成プログラム(ALP)を推進。広島大学で2006年にスタートしたALPは、AL育成協議会によりオープン化され、  現在は全国の大学・企業で実施されています。「最先端の技術・取り組みを学び、未来を考える」をテーマに東京で開催される研修合宿<協力企業例>日本マイクロソフト、富士通、日本IBM、イフ、TOTO、東京電力、大日本印刷 など●学内インターンシップ アクセシビリティセンターのインターンとして採用●地域インターンシップ 地域の教育機関・福祉機関にインターンとして派遣●企業インターンシップ ALの資質を生かした職場研修ALキャンプALインターンシップ015

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