HU-plus(Vol.5)2018年1月号
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1952年愛媛県生まれ。1977年広島大学医学部卒業。整形外科医。2004年に内閣府の日本学術会議会長賞、2010年に文部科学大臣表彰科学技術賞、2014年に産学官連携功労者表彰厚生労働大臣賞を受賞。2007年~2011年、広島大学病院長を務める。2015年、広島大学学長に就任。越智光夫おち・みつお●広島大学 学長吉村:小学校4年生のときに転校した学校でいじめられたのです。逃げ回っていて、あるとき間違えて図書室に入ったらいじめっ子たちがみんな帰っちゃった。「ここに来れば安全だ」と図書館に行くようになったのですが、図書館では本を読まないと追い出されてしまう。でも何を読んだらいいかわからない。司書の先生に「どの本を読んだらいいですか」って聞いたら、「100冊そろった伝記を読んでみたらいい。“いい人生だな”と思ったらそれをまねしていくと人生の3分の1くらいは良くなるよ」と言われたのです。 「偉い人の話ばかりでつまらないな」と思っていたら、最後の10冊が冒険・探検の人の話でがぜん面白くなってきた。100冊目がエジプト人考古学者ハワード・カーターの『ツタンカーメン王の秘密』という発掘記だったのです。これに力をもらって、「僕はハワード・カーターになる」って決めたのです。先生に相談したら「そうか。考古学をがんばれ。そのためには東大に行くしかない」って言われて。東大に入るために中学受験、高校受験をがんばって志望の学校に入ったのですが、それですっかり気が緩んでしまって三浪してしまった。四浪しようと思ったらうちの母親が「4回も落とした大学の先生の話を聞いて納得できるの?」と言うので、「そりゃそうだな」と思い直して、家から歩いて通える早稲田大学に入ったのです。越智:考古学をやるのであれば東大に行くのが一番良かったのでしょうか。吉村:東大か京大だと言われていました。越智:早稲田にはなかったのですか。吉村:ありませんでした。歴史はあったのですよ。古代日本史、東洋史、西洋史。でも、大ざっぱなものだからエジプト考古学っ越智光夫越智光夫広島大学 学長広島大学 学長004
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