HU-plus(Vol.5)2018年1月号
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漫画で日常を描く 教育熱心な家庭に育ったため、子どもの頃、あまり漫画を読ませてもらえませんでした。「お小遣いを貯めて、買って、読むのですが、1回読むと終わりじゃないですか。でも、ふと気付いたんです。自分で描けばお金もかからず、描いている間も楽しい。好きな話にできるし、みんなに読んでもらえるとさらにうれしい」 中学生の頃から漫画を描き始め、夢中になったこうのさんは「漫画があれば何もいらない」と、漫画の題材を見つけるために広島大学に入学。しかし、本格的に漫画家を目指すために大学を中退して投稿を始め、26歳で漫画家としてデビューしました。 漫画を描く上で決めているのは「日常を描くこと」。漫画を描き始めた頃は奇想天外な物語を描いていましたが、高校生の頃から「無理なく、自分の好きなものを描きたい」と思うようになりました。『この世界の片隅に』でも、登場人物の生活に戦争がどう入り込んでいったかを描きました。そのため、「こまごました日常の雑事ばかりが描かれていて、ミクロの視点しかない」との評もありました。しかし、こうのさんは「私はご飯を食べて、寝る、そんな生活していること、みんながやっている、知っていることの方がマクロな視点のように思うんです」 『夕凪の街 桜の国』『この世界の片第2特集◎特別インタビュー漫画家こうの史代さん広島大学理学部 1987年入学広島県広島市出身主な作品:『夕凪の街 桜の国』『この世界の片隅に』009

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