HU-plus(Vol.4)2017年8月号
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福島第一原発事故発生直後から、住民の方々へ放射線の正確な情報提供を行うために、県内各所を飛び回り、説明会や講演会を行った。「国民の先頭に立ち、被災地を支援する。それが被爆地ヒロシマの役割だと思っています」 「被爆地ヒロシマで積み上げた知識と技術を生かしたい。その一心でした」。そう振り返るのは、福島原発事故で広島大学が派遣した医療支援チームの指揮を取った神谷副学長。専門は放射線発がん。通常、被ばく後に時間が経ってからがんは発症する。被災地の放射線が健康へどう影響を与えるかは未解明の部分が多く、住民は不安が拭い切れないのを肌で感じた。全国の研究者と連携して、英知を結集するために、全国に共同研究を呼び掛けた。自身も福島県立医科大学の副学長を兼務し、現地で調査を続ける。 国内だけでなく世界中の安全と安心の構築にも尽力している。アジアの放射線ネットワークの立ち上げや、ヨーロッパとの連携強化にも携わった。広島大学大学院「放射線災害復興を推進するフェニックスリーダー育成プログラム」の責任者を務め、未来を担う国内外の“人財”も育てる。「本プログラムで育ったリーダーが福島はもちろん、世界中の被災者の光となってほしい」放射線災害からの復興をリードし、国内外で連携。神谷 研二副学長復興支援・被ばく医療担当復興を学術で“支える”平和ひと未来第1特集◎広大がつなぐ広大の理念のトップに「平和を希求する精神」という一文があります。被爆地ヒロシマに開学した大学として、未来社会の平和にいかに貢献できるか。さまざまな英知をどう活用していくのか。広大は、その答えを問われ続けています。007

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