HU-plus(Vol.4)2017年8月号
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放射線災害・医科学研究拠点(広島大学、長崎大学、福島県立医科大学)3大学の枠を超えた、新しい未来への研究。 今日、放射線災害の学術基盤の確立とその対応は、国際社会の共通の課題となっている。広島大学・長崎大学・福島県立医科大学は、この課題に立ち向かうため、ネットワーク型拠点を形成し、放射線障害の解明と治療、および災害復興に関する研究を3大学共同で発展させている。国内外の研究者と連携し、被災地域のニーズを踏まえた領域横断的研究の拠点形成を目指す。被爆戸棚原爆の威力を語るモノ。 被爆当時は、広島工業専門学校(本学工学部の前身、広島市中区千田町=爆心地から約2km)で薬品・図書戸棚として使用されていた。熱線によって実験用スタンドの影が焼き付き、また、爆風によってガラス片が突き刺さっている。原爆の威力を視覚的に分かりやすく伝える貴重な資料として、霞キャンパスの医学資料館に展示されている。平和大使~森戸初代学長の植樹~緑の樹木の成長が平和を希求するメッセージに。 森戸初代学長は、大学の復興のためにいくつかの目標を立てたが、キャンパスの緑化もその一つ。「生々の色、希望の色、平和の色である緑で埋めたい」。世界各国へ依頼したこの手紙により、樹木の苗木103種261本、種子934袋が届けられた。東広島キャンパスの樹木園では、平和大使の木々を見ることができる。平和文庫戦後まもなく世界各国から寄贈された2,096冊の図書を収蔵。 原爆によって、広大図書館は多くの研究資料や蔵書を消失した。1951年、森戸初代学長は図書館の復興と平和問題研究所の設立を願って、世界各国の主要大学や研究機関に図書の寄贈を依頼。3年間でアメリカ合衆国をはじめ多くの国々から計2,096冊の図書が届いた。これは「平和文庫」として、現在も図書館で大切に保管されている。知っておきたい広大と“平和”「寄贈された図書には、鳩をデザインしたシールが貼られている」と話す図書館部・上田大輔主査カリフォルニア大学から寄贈され、100m近い巨木に育つというセコイア各拠点の強みを生かした連携HiroshimaFukushimaNagasaki広島大学原爆放射線医科学研究所福島県立医科大学ふくしま国際医療センター長崎大学原爆後障害医療研究所学生ボランティア団体OPERATIONつながり広大生が東北で、地域で、世界で活躍中。 東日本大震災の直後、「東北の人々のために何かしたい」という思いを持った学生が集結し、2011年3月に発足。14次にわたって「つながり隊」を組織し、被災地に赴いた。現在は震災復興支援を続けながら、ベトナムの少数民族の文化振興や2014年の広島土砂災害の復興支援などを行い、活動のフィールドを地域から海外にまで広げている。戸板に焼き付いた実験器具の影010
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