HU-plus(Vol.3)2017年4月号
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大学院工学研究科システムサイバネティクス専攻生体システム論研究室 准教授栗田雄一Yuichi Kuritaちょっとしたことが、大きく人をアシストする。テニス用のアンプラグド・パワード・スーツ。ポンプを足で踏むと手首、肩に着けているスーツに空気が溜まり、自分が出したいと思うタイミングで強力なパワーが出ます学生の指導はもちろん、障がい者スポーツの拡張を目指している栗田准教授。パラリンピックの正式種目のひとつ『ボッチャ』で、技術がどうアシストできるかという問題にも取り組んでいます「夏のオープンキャンパスで高校生に『何か面白いものを見せたいな』と思ったのが開発のきっかけです。製作期間は半年ほど」と関塚さん人工筋肉が、生活を豊かに楽しくしてくれる 人は本来、身体を動かすことで健康を維持する機能を持っていると、栗田雄一准教授は指摘します。「先端技術に頼り切ってしまっては、人の筋肉や考える力は低下するばかりですから。自分の持っている力を実感しながら生活を送ることが重要なのです」 そう語る栗田准教授が岡山の企業と共同で作り出したのは「アンプラグド・パワード・スーツ」。電気を使わず空気のポンプで動く人工筋肉で、軽くて装着しやすいのが特徴です。歩行すると足の裏のポンプから空気圧が送り出され、太ももに装着された人工筋肉を動かし、歩くための力を10%程度補助します。「つまずくことが多くなり、歩くことが嫌になってしまった人を、もう一回歩こうという気持ちにさせることができるスーツ」と胸を張ります。 手首や肩に人工筋肉を装着して、例えばテニスでは普段よりも「ラケットを強く振れる」、野球では「投げる球が速くなる」といった、既存のスポーツに技術をプラスする研究も進めています。「日常生活の支援に加え、何気なく『あっ、これ楽しい!』という感覚を、多くの人が実感できる技術を作っていきたいですね」。みんなが驚くような近未来のロボットだけではなく、ちょっと何かをプラスすることで、社会を活性化させたい、と語ります。パワフルな工事現場でもVRのちからを 頭に装着したディスプレイには、まるで本物のショベルカーに乗った時のような景色が映し出されます。360°全方位の映像が組み込まれていて、手元のレバーを操作すると、映像と連動する仕組みです。 開発者は、栗田研究室の関塚良太さん(M1)。「アームを動かす方向や角度を調整する感覚がなかなかつかめない」といった現場での声が開発のヒントになったといいます。また、実機で練習できる時間が十分取れない場合に有効で、ゲーム感覚で運転技術を磨くことができるそうです。007

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