HU-plus(Vol.3)2017年4月号
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●❶●❷●❸いちばんの研究対象はモノをどう動かすか 高木健准教授は、『機構』と呼ばれるメカのからくりの専門家。メカ好きの学生たちから、厚い信頼を得る人物です。研究分野は航空宇宙分野から医療応用など多岐にわたります。 「基本的には、何であれ新しい技術を作っていきましょう、というのが僕のスタンスです」。そう語る高木准教授が、今学生と取り組んでいることの一つは、ドローンを使ったロボットハンドの開発。ドローンにアームと、その先にハンドを付けて人間の手の機能を持たせ、モノをつかむ、運ぶといった一連の作業を目的にしています。 「ハンドは、円形の部分が無段階の変速機(P5上)。機構では、モノをどのように動かすかということがとても大事な研究対象なんです」と高木准教授。速く動かすと力が出ず、力強いとゆっくりしか動かせない。その両方の問題を解決するために、変速して俊敏かつ力強く動く機構を提案しました。 このアーム付きドローンは、今後レスキューの現場での活用が期待されています。技術の目利きがいると、仕事はもっと広がる ドローンのハンドのからくりは、それを見たある企業の技術者の目に止まり、新しい機構の一部として開発の話がありました。「この時は実現しませんでしたが、技術の目利きがいれば可能性は広がっていくんですね」と高木准教授は話します。 現在は、株式会社IHIとの研究で、ロケットを飛ばすためのエンジンバルブの機構にも挑戦中。製品化される日も間近で、最終的にはJAXAへ納品される予定です。「技術があってからくりがあって。そのすべてが繋がっているからどんな分野にも応用できるのです。機械は環境に適応しないと思われがちですが、そんなことはありません。いつかそのイメージを払拭し、環境に柔軟に適応する世界一の技術を作りたい」。高木准教授の挑戦は続きます。第1特集◎常識の先をゆく広大イノベーションアーム付きドローン3㎏の重さのドローンにアームとハンド・電池を取り付け、7㎏の重量に。ハンドを使ってサンプルの採取やモノの撤去などにも役立てることができます倒立振子ロボット地面から離れた机の上へのアクセスや、段差があっても姿勢を変えないで上がる機能を搭載しています。ホッピングロボットホッピング動作を研究しているもので、前後左右、倒れないようにバランスを統制しています。高木研究室の木島啓秀さん(M2)と、アイデアを一つ一つ検証する高木准教授大学院工学研究科システムサイバネティクス専攻ロボティクス研究室 准教授高木健Takeshi Takakiどんな環境にも柔軟に適応する技術と、からくりを提案したい。●❶●❷●❸●❹●❺●❻006

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