HU-plus(Vol.3)2017年4月号
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  広島大学出身者の中で歴代2人目の女性弁護士としてご活躍中の平谷優子さん。学生時代に司法試験に合格し、司法修習を終えて、現在は広島市の『ひかり総合法律事務所』に所属し、さまざまな案件を解決されています。 「依頼の中では特に、家庭裁判所が関わるような女性や子どもの問題が多いのですが、基本的には何でも受けます」と頼もしく話をしてくださった平谷さん。実際にお会いしたところ、気軽に相談したくなるような温かく優しい雰囲気を感じました。「弁護士は人と人との『紛争』に携わります。法律の下で、依頼人とその相手の『紛争』を解決するために、依頼人に寄り添っていろんな材料を整理し向き合い、一緒に問題解決に向かって進めていきます。大変ですが、そこが弁護士のやりがいです」 女性や子どもの問題と向き合う中で、平谷さんにはある想いが芽生えたそうです。「非行に走った子どもでも、行き場があれば少年院に行かなくて済む子もいます。子どもの権利委員会の活動を行う中で、社会復帰を目的とした子どもたちの居場所を作りたい、と考えるようになりました。2009年、同じ想いを持つ弁護士仲間とともに、目指したいことを劇にして伝えたところ、行政や市民から反響がありました」。2011年にはその人たちの協力を得て、NPO法人『ピピオ子どもセンター』を設立し、子どもシェルター『ピピオの家』の立ち上げにこぎつけました。「子どもは成長していく過程で、大人がしっかり手をかけなければいけない時があります。でも、ピピオへ来る子どもたちの多くは、そうした手を十分かけてもらえずに育ってきた子が多いんです」。子どもたちの一歩先のことを一緒に考え整理していく。それが平谷さんの仕事だそうです。 女性の問題もさまざまあり、高齢者の貧困やDVなど、相談内容もそれぞれ多岐にわたっています。「例えば離婚問題などは、まさに人生のターニングポイントです。その人の新たなスタートに立ち会うことになります。弁護士として、そこで力添えができるということの意義は大きいですね」 一般の人にとって、慣れない裁判には負担が大きく、なかなか判断がつかないものといいます。平谷さんが大切にしているのは、依頼人と話を積み重ねること。対話を重ねることで、相手の不安に寄り添い、求めている意図を汲み取ります。「時には依頼人に厳しいことを伝えないといけない時もありますが、相手の負担をいかに最小限にして伝えられるかを心がけています」 法律を学ぶ楽しさは、大学の授業の中で教わったという平谷さん。「法律学は語学と似ています。学び続けることで、自分の知見がぐっと深まる瞬間があって、面白くなってきますよ」 最後に母校の後輩たちヘ、こんなメッセージをいただきました。 「弁護士を目指す人は、大学時代に法的な思考を身に着けると良いと思います。また、人と多く関わっていく活動を一生懸命やっておいてほしいです。その中で、人と人の『紛争』をどう解決していくか。周囲と考えながら学ぶことは、職種に関係なく、社会できっと役に立つのではないでしょうか」平谷さんは現在2人の子の母。「ちょっとしたトラブルは子ども同士で解決できるよう、見守っていきたい」と話すモットーは「熱い心と冷えた頭で」。弁護士の仕事には、法律相談を受けたり、訴訟活動、委員会活動、広島市や県の審議会に出席するなどがあり、極めて多忙だ法律というルールの扱い方だけでなく、紛争が起きそうになった時、どのようにすれば解決ができるか、予防ができるかを考え続けるのも弁護士の役割024

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