HU-plus(Vol.2)2017年1月号
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 西京銀行は、山口県の中央部、周南市に本拠を置く地方銀行。前身が山口相互銀行という、いわゆる「第二地銀」の一つです。西京銀行は、いま全国から注目される存在になっています。理由は経営効率の良さと収益性。その牽引役が、代表取締役頭取の平岡英雄さんです。 まずは、2014年度に預金量、融資量の増加率で全国一位になり、いまなお好業績を続けておられる、その秘訣を尋ねました。 「おかげさまで、現在もいい数字が出ています。マイナス金利への対応とか、システム的なものは除いて、特別なことは何もしていないのですよ。この間やってきたことを強いていえば、銀行の常識を捨て去ること。たとえば、融資のご相談に来られる方。お金をお貸しして金利をいただくわけで、一般企業でいえば大切なお客さまです。ところが、銀行だとお客さまの方が頭を下げられるから、行員も勘違いしてしまう。ついつい、上から目線になってしまうんですね」 その銀行の常識を覆すために、平岡頭取は積極的に策を出します。伝票の簡素化(あんなに何枚も伝票に書き込まなければいけないのは銀行だけですよ、とのこと)、18:00以降の残業ゼロ、金庫レスの実施、頭取室の廃止、債権処理の集中管理など、これまでの銀行から見れば「とんでもないこと」を次々と実行に移します。 「たとえばハンコなし。印鑑を忘れたり、違う印鑑をご持参いただいた場合、通常出直していただくのが銀行の常識でしたが、当行では最低2人の行員が本人確認できればハンコレスで手続きを進めています」 相続対策もその一つ。各支店で相続の手続きをすると、専門知識の不足など、いろいろな問題が起きてきます。 「だから、スペシャリストを本部に集めて、支店に来られたお客さまには、テレビ電話で相談していただくことにしました。時間も費用も大幅にダウンですよ」 「ローンの決済のスピードアップも同じ。3日以内が原則ですが、個人ローンだったら3時間以内に決済しろと言っています。普通の常識で考えればなんでもないことが、金融の目で見るから難しくなるんですね」 西京銀行は、地元の金融界でいえば、No.2の存在ながら、その注目度や期待度は年々あがるばかりです。平岡頭取は、テレビの金融ドラマのヒーローを重ね合わせて「地銀の半沢直樹」と呼ばれることもあるそうです。 「私は『頭取』という呼ばれ方には、ちょっと困惑しているんですよ。町を歩いていて『頭取!』と呼ばれるとびっくりします。普通に社長と呼ばれたいですね」 「地方の小さな銀行ですから、仕事の縄張りなんて無視すればいい。仕事は全員でシェアすればいい。そこから効率化も生まれると思います。残業ゼロへの道も、一人ひとりの考え方次第なんですね。当行の強みの『チームワーク』も、そのあたりが原点だろうと思っています」 銀行改革に邁進する平岡頭取ですが、大学生時代には休みの度に日本全国あちこちを旅していたそうです。「机上の勉強も大事ですが、それだけが勉強じゃない。特に銀行はたくさんの人と接する機会があります。さまざまな経験をすることも勉強だ、と行員には言っていますよ」 最後に、広島大学の後輩へのメッセージもいただきました。 「いろんなことに興味を持って、いろんなことにチャレンジしてほしいですね。海外旅行でもなんでもいい。それがいつか活きてくる。そう思って、大学生活を思い切り楽しんでほしいですね」本店社屋。コーポレートカラーは青だが、本店や新店舗は黒で統一。都会的でお洒落な印象を狙ったそうだ。部署や仕事内容にかかわらず、一人何役もこなすのが西京銀行流。行員(社員)さんの表情も「自由」そのものだ。022022

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