HU-plus(Vol.2)2017年1月号
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考広大教育 設立当時から学際・総合性を理念としてあげ、文理融合を目指してきた総合科学部の学生に求められるのは、課題に応じて関連する分野の専門家とチームを編成し、解決を目指すチームリーダーやコーディネーターとしての役割だと考えています。社会の問題や課題が複雑化するほど、文理融合型教育の重要性はさらに増すことになると思うからです。 富士山は裾野が広いから、あれだけの高さを誇っているのです。総合科学部の文理融合型教育で先に裾野を広げ、深い専門性や学問の融合に結びつくユニークな教育を実践しています。 総合科学部から多くの研究者が輩出されていることを考えると、多様な分野を学ぶことが専門性の希薄化に結びつくものではないことが分かると思います。 総合科学部の学生は、自分の専門分野をベースに文理融合型教育を受けます。そのため、学生によって母体となる学問分野が異なります。異なる学問分野の友人と語り合うことが、まさに総合科学の学びの場なのです。総合科学部では、友人そのものが多様な専門分野を理解した知的集団と言えるわけです。卒業してからも、多様な専門分野の知識を得るために友人のネットワークを活用することができます。それが、総合科学部学生の宝とも言えるのです。岩永 誠 総合科学部長|教員の声|総合科学部総合科学科人間探究領域4年 水津 ありさ|学生の声| 1年生で履修した「総合科学へのいざない」や「総合科学概論」ではグループワークを行い、文系・理系それぞれの意見を交換し合うことで、より多彩なものの見方が得られることを学びました。私はもともと文系でしたが、自分とは違った意見を持った人に対しても「対立意見」と捉えるのではなく、「そういう見方もできるな」と、より柔軟な捉え方ができるようになりました。 自分が興味を持った授業を気軽に履修できるので、1年生のうちは幅広い分野について学ぶことができました。その結果、2年生以降の領域選択や研究室所属では、自分が本当にやりたいことを選択でき、スムーズにメインとなる専攻を選択できたと思います。 総合科学部の魅力は、同じ学部の中でも、人によって興味を持っていることが大きく違っていて、卒業論文のテーマも本当にバラエティ豊かなところです。友人と話すと自分が今まで知らなかった世界が見えてきて新鮮です。 私が取り組んだ卒業論文では、外国語(英語)の授業でみられる生徒の「沈黙」に焦点をあてて、日本人英語学習者の学習態度を授業観察やアンケートなどを用いて調査しました。将来は教育現場に携わり、総合科学部で培った多角的な視点から物事を考える力を生徒理解に活かしたいと考えています。総合科学部の「文理融合」教育 現代社会の抱える諸問題は、どれも複雑な要因が絡み合っており、専門的な知識だけでなく、文系・理系を越えた総合的・複合的な視点が求められます。こうした社会の要請に応えるため1974年に創設され、「総合的知見と思考力」を養うための教育・研究を行ってきたパイオニア、それが総合科学部です。017

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