HU-plus (vol.12) 2020年度5月号
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勉強しました。すると、苦手だった数学がだんだん解けるようになっていったのです。今まで味わったことがない、「魂が歓喜する」とでも表現すべき快感でしたね。夕方の4時から明け方の4時まで、気付けば12時間ノンストップで勉強していることもありました。越智:自分で答えを導き出す、勉強の本当の中学3年で初めて感じた焦り小学5年の時、東京荒川少年少女合唱隊の仲間と(前列左端が片岡氏)「流れのままに」と題して講演を行う片岡氏広島大学 学長越智 光夫おち・みつお/1952年生まれ。愛媛県今治市出身。広島大学医学部卒業後、整形外科に入局。1995年島根医科大学教授に就任。2002年広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授に就任。2007年~2011年まで広島大学病院長。2015年から現職。「流れ」に導かれた先での努力が今の自分につながった。越智:子ども時代から現在に至るまで変わらないと強く感じることはありますか。片岡:「これをやってみたい」ということがあれば、子どものころからちゅうちょしませんでしたね。その姿勢は、現在のお笑いや俳優、プロボクサーなどの幅広い活動につながっていると感じています。越智:思い立ったらすぐ行動に移されるのは、誰かの影響でしょうか。片岡:いえ、自発的というか。両親は「本人が『やらなきゃ』と思うことが大切」という考え方だったので、勉強でもそれ以外でも強制されたことはありませんでした。越智:それでは、自発的に勉強を?片岡:それが、「勉強しろ」と言われないものですから本当に勉強しませんでした(笑)。小・中学校時代は順位が下から2番目くらいでしたね。高校受験を控えた中学3年の1学期、先生から「今の成績では私立校でないと難しい」と断言されまして。家は裕福でなかったので、母からは「都立以外には通わすことはできない」と言い渡されました。勉強ができないから芸人になったのかと思われるのも悔しいと感じ、中学最後の夏休み前に急に危機感を抱きました。越智:そこから心機一転、勉強熱心になられたのですか?片岡:何とかしないといけないとは思ったものの、中学3年の教科書を見ても全然理解できませんでした。授業中は先生の癖ばかり見ていましたから(笑)。ところがある気付きをきっかけに、勉強とは快感を得られるものだと身をもって実感できたのです。夏休みにどのレベルなら分かるのか学年をさかのぼって見直してみたところ、小学5年の内容は分かったんですよ。そこで、小学5年から中学3年までの問題集を買って、順を追ってなる。やればできる、という自信04Hiroshima University Magazine

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