HU-plus (vol.12) 2020年度5月号
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発表とロジカルな指導を通じ、     現代社会の問題に迫る学問分野:人的資源管理/国際ビジネス/組織行動キーワード:組織管理、組織心理学、労働環境、採用、      自主退職人数:大学院生4人、教員1人07teamDATAヴェサ ペルトコルピ(Vesa Peltokorpi )研究室大学院人間社会科学研究科 マネジメントプログラムREPORT潜入チーム広大理論と手法を基軸に「労働」に関わる身近な課題を解決する 2019年に着任したばかりのペルトコルピ教授の専門は人的資源管理や国際ビジネス、組織行動。主に多国籍企業での「採用と自発的な離職」について研究している。例えば近年、日本国内でも能力の高い外国人を採用するために英語を公用語にする企業や、海外に子会社を置く企業が増えている。その場合、社員同士の言語や文化が違う環境で、組織管理にどのような問題が起こるか、外国人従業員にどのようなストレスや不安があるかを考えて運用しなくてはならない。教授の研究は、人的資源管理や組織心理学の理論から離職率の削減に貢献する。 ペルトコルピ教授のもとで学ぶのは、社会人と留学生の4人。がん患者の就労や仕事の満足度、留学生の就職活動など、研究テーマは各自のバックグラウンドに関連する内容が多い。研究は主に2つの手法で進められる。理論を調査によって検証する方法と、調査から新しいモデルや理論を導き出す方法だ。ゼミでは毎回、発表が行われ、学生たちは活発な議論と教授のロジカルな指導のもとで鍛えられる。「学生たちには“良い”研究をしてもらいたいと思っています。研究の理論や手法を基礎からしっかりと積み上げれば、失敗が減るしデータの質も上がる。基礎があれば、より複雑な課題研究にブラッシュアップしていくことも可能です」 マネジメントプログラムは、平日夜間と土曜にも授業が開催されるため、社会人が多く在籍しているのが特徴。利便性に優れた広島市内の東千田キャンパスにあり、仕事と両立させながらの研究も可能となる。 ペルトコルピ教授の出身は福祉先進国のフィンランド。日本の労働環境には課題を感じることが多いという。「妻や友人からは、女性が仕事と家庭を両立する上での苦労を頻繁に耳にします。また、日本ではパワハラの問題が根強い」。働き方改革やワークライフ・バランスの重要性が唱えられる一方で、なかなか進まない諸課題の解決。理論に基づく研究を通して、誰もが働きやすい環境づくりへの貢献を目指す。15

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