02 「アダプテッドスポーツ」をご存知でしょうか。障がいの有無、性別、年齢に関係なく、さまざまな人が参加できるように工夫されたスポーツのことです。私たちはサークル活動として、障がい者スポーツの支援・普及や健常者と障がい者のつながり創出を目指し、アダプテッドスポーツの大会ボランティアや講習会・体験会の企画などを行っています。所属メンバーは医療従事者を目指し、学んでいる学生です。実際に障がいのある方と接することで、より実践的な知識を身に付ける目的もあります。講習会や体験会では、競技のルールを教えるだけでなく、「他のスポーツや日常の動作も、工夫次第で全ての人ができるようになる」という考え方を伝えるよう心掛けています。「障がいを持っている」=「かわいそう」「違う人」「できないと決めつける」という発想ではなく、「こういう工夫をしたら一緒に遊べる」と考えられる人を一人でも増やしたいです。 今後の目標は、医療従事者を目指す学生以外の人たちも巻き込んだ活動。東広島キャンパスの学生とも一緒に活動し、障がい者スポーツの輪を広げていきたいと思います。09 広島大学病院には、スポーツに関連するさまざまな施設・団体・地方自治体と協力し、アスリートをトータルにサポートするスポーツ医科学センターが設置されています。センターのコンセプトは、アスリートの競技力向上や外傷・障がい予防などを通じ地域のスポーツ発展に寄与すること。プロスポーツ選手をはじめ、小・中学生や障がい者など、さまざまな選手が対象です。総合病院内に設置された当センターは、選手たちのあらゆる障がいに対応できるという強みがあります。私は理学療法士としてメディカルサポートを担当するほか、大会のトレーナーやイベントの企画運営などで障がい者スポーツに積極的に関わっています。過去にはトレーナーとしてリオデジャネイロパラリンピックのパラカヌー競技の帯同を経験しました。 患者さんや選手と話していて感じるのは、健常者と障がい者の間にある心のバリア。「自分と相手は違う」という両者の思いが壁を作ってしまいます。しかし、スポーツでは一緒にプレイするだけで、自然と笑い合うことができます。競技を楽しむ気持ちや勝ち負けへの真剣さが心のバリアを取っ払ってくれるのです。 このスポーツの力に気付かせてくれたのは、以前東京で見学した障がい者サッカーのチーム。そこで出会った「障がい者」と呼ばれる人たちはとても魅力的で、心の底からサッカーを楽しんでいました。「同じようにいろいろな人がサッカーを楽しめる場を、自分の故郷・広島にもつくりたい」と思い、中四国初の障がい者サッカーのチーム「アフィーレ広島」を設立。現在は広島県インクルーシブフットボール連盟の代表も務め、障がい者サッカーの普及活動に広く携わっています。障がい者の社会参加しやすい環境づくりに貢献し、最終的には障がいの有無にかかわらず全ての人が自然に暮らせるインクルーシブな社会の一助となることが目標です。 東京五輪・パラは、沢山の人にスポーツの楽しさを知ってもらうチャンスだと考えています。東京で大会が開催されれば毎日否応なしに情報が入ってきます。今までスポーツに興味がなかった人が、どんな所でもいいので面白いと感じてくれればうれしいですね。そして将来スポーツに関わりたいと思う子どもたちが少しでも増えることを期待しています。02障がいの有無にかかわらずつながりを目指す西平 美鈴 さん(医学部 保健学科 理学療法学専攻 4年)霞アダプテッドスポーツクラブ 代表「アダプテッドスポーツ」を広めたい。坂光 徹彦広島大学病院スポーツ医科学センター理学療法士あらゆる障がいに対応して選手をサポート。リオパラにて、パラカヌー日本代表・瀬立選手とロゴマーク
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