鉱物・海藻・骨格の標本群。「遊び」の美学者カイヨワは、石マニア。石目も抽象絵画も同じ原理によると言った。アナロジーに基づく形態学。こうした類似を探すモノの見方は原初的な思考だが、「近代」を再考し未来を開く21世紀的思考かもしれない。Nature自然4,000点を超える『海藻標本』(田中博 広島大学修士(農学)/竹原ステーション)偏光顕微鏡で観察した『カンラン岩※の薄片』(教育学研究科)骨格模型『身幹儀(星野木骨)』★(医学資料館)〈国の重要文化財〉大学院総合科学研究科(美学・芸術学)桑島 秀樹 教授広島大学が所蔵する美術作品と、教育・研究に関するさまざまなモノをアートの視点から紹介します。 (★は一般公開)感性でつなぐ、広大アート感性でつなぐ、広大アートアートをはみだすモノも「額縁」に入れ、芸術作品に見立てました。広島大学にあるさまざまな知の財産を、超時空的感性でつなげ、「空想美術館」を開いたわけです。アートマップの中心に置かれているのは、コンピュータによる『複素関数で描いた絵』。「絵画」の画面構成となんら変わりませんよね。「自然」の鉱物や動植物が持つ紋様・形態の妙とも呼応するでしょう。「陶芸」も土や石の化学変化の産物です。「渦」は時空を超え、過去と未来の人々をつなぎます。遺物の凝視、あるいは、展示というアート化によってしか、原爆の実相は理解できないはず。「平和」のかたちを問うこともまた射程に入っています。※地球のマントルを構成する岩石。『オオサンショウウオ骨格標本』(総合博物館)コンピュータによる『複素関数で描いた絵』(吉野正史 教授/理学研究科 数理解析講座)写真は「ユカリ」。広島県の厳島で採集。08Hiroshima University Magazine
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