HU-plus (vol.10) 2019年度8月号
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06Hiroshima University Magazine宮谷 真人理事・副学長(教育担当)何が変わる?大学院再編特別コラム2019年春、広島大学大学院の再編計画が始動した。大学院改革を実施する狙いについて宮谷理事・副学長に話を聞いた。20182019~2020新研究科では専門分野を超えた学びが展開される次代の人材育成に向けた大学院の大幅な改革文 学教育学国際協力社会科学法務工学総合科学理学先端物質科学生物圏科学医歯薬保健学人間社会科学先進理工系科学統合生命科学医系科学 広島大学は新長期ビジョン「SPLENDOR PLAN 2017」で「『持続可能な発展を導く科学』を確立し、多様性をはぐくむ自由で平和な国際社会を実現する」ことをミッションとして掲げている。今回の再編はその実現に向けた施策の一つだ。教育担当の宮谷真人理事・副学長はこう語る。「グローバル化が進み、社会はより多様かつ複雑化しています。これからの大学には、自身の専門とは異なる分野への理解や複合的な視点を備え、他領域の専門家や社会と協力して課題を解決できる人材の育成が求められています。今回の大学院再編では、異なる領域の研究・教育を融合し、社会に求められる人材を育成できる環境づくりに取り組みました」 広島大学の大学院は2年で大きく変わる。1年目である2019年4月には生物・生命科学系と医系の研究科の再編が行われた。そして2年目の2020年4月には人文社会科学系・学際系分野と理工系分野の研究科再編が行われ、もともと11あった研究科は4つになる予定だ。将来的にはそれぞれの領域が連携して問題解決ができるような教育研究組織の整備も構想している。分野を超えた学びを可能にする新しい体制・仕組みづくり 新研究科のカリキュラムや指導体制は、狭い専門領域に閉じこもるのではなく、幅広い教養や視野を身に付けた人材の育成を意図している。例えば、これまで学生は所属する研究室の教員から指導を受けるという体制が主だったが、今後は異なる視点を持った教員が共同して学生の育成にあたることが期待される。他の研究室との交流の場を積極的に設け、研究室間の移動も柔軟にできるようにする。「学生・教員の双方にとって新たな視点を得るチャンスとなるのではないでしょうか。専門外のさまざまな分野に触れることで、人脈が広がり、企業との共同研究の機会が増えるはずです。学生たちの大学院修了後の活躍の場も広がるでしょう」と宮谷理事・副学長は言う。 また、大学院共通科目や研究科共通科目では平和に関する科目など学際的な内容も提供。専門外の科目も一部必修として課される。自分と違う分野を専攻している学生たちと同じ場で学び、複合的な問題について一緒に考えることで、分野を超えた学生同士の交流が盛んになるだろう。目指すのは、専門の枠を超えた議論が自然と飛び交い、気軽にコミュニケーションできる環境だ。 新研究科では修了要件の単位数は変わらず、共通科目が必修となるため、専門的な学びがおろそかにならないかという懸念に対しては、宮谷理事・副学長はこう語る。「一人が一つの分野を究める従来のやり方では、時代の変化や社会のニーズに対応できません。新しい試みなので今後課題も出てくると思うが、学生や教員と一緒により良い方法を考えていきたい」 学部再編や新学部設置の構想は今のところないが、必要があれば、大学院進学を見据えた分野横断的な学部プログラムの導入を検討したいと言う。時代の変化に対応し、国際社会を牽引していく人材を育成する広島大学の新しい取り組みに、企業や行政からの期待は高まるに違いない。※設置申請中※設置申請中2019.4 設置2019.4 設置※申請中の研究科について計画が変更となることがあります。

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