052019年3月、コーポレートアイデンティティとロゴを刷新。「人々の暮らしをアップデートしていく」という決意と熱意を表現している。新ロゴデザインを用いた第一号店、梅田OPA店（大阪府大阪市）すが。夜逃げした私を怒ることなく許してくれて「お前から金を取ろうなんか家族の誰も思っとらん。その金は自分の人生に使え」と優しい言葉を掛けてくれたんです。あの時本当に感動して、優しさというのはすごいものだと感じました。越智：温かいご兄弟に恵まれたのですね。矢野：はい。ただしその後アメリカから古紙を輸入するようになってちり紙交換という商売が一気に無くなったんですよ。さらに私の人生の困難の二つ目である火事が起こりました。家に放火されたんです。越智：それはまた大変ですね。ご家族はご無事でしたか。矢野：けがなどはなかったのですが、私が放火犯だと怪しまれました。保険に1円も入ってなかったので、すぐに疑いは解けたのですが。火事でお金が無くなったことで「100円でもいいから貯金しよう」と考えるようになりました。100円に対する感謝やありがたみが湧きましたね。越智：火事の後で100円ショップを営まれるようになったんですよね。矢野：当時100円ショップは神社や農協での移動販売でした。しかしそれではなかなかお金はたまらず、兄たちからまた火事の見舞金として借りたお金を一気に返そうと、スーパーで販売させてもらいました。すると、三日間で330万円も売れて皆驚きました。越智：スーパーでの販売に目を付けられたのがポイントだったのですね。矢野：そこからスーパーでたくさん売れて。その話を聞いた西日本のニチイ（現イオン）さん、東京のイトーヨーカ堂さんでも展開することになりました。越智：商売をされる上での、こだわりは何だったのでしょうか。矢野：「100円で僕は高級品を売っている」というプライドはありました。もともと私たちはなかなか人が来ない所でやっていたものですから「良い商品」を100円で売ることにこだわっていたんです。普通は原価30円と原価80円の商品があれば、30円の方を100円で売って利益を出したいと考えますが、私たちは原価が80円かかっても良い物を売りたいと。少し見栄っ張りなところがありました。越智：素敵なこだわりですね。周りの方々の反応はいかがだったのでしょうか。矢野：イトーヨーカ堂さんで商品を並べる時、スーパーの方が手伝ってくれたんですけど「これいくら？」「100円じゃないでしょ？」と何度説明しても聞いてくるんです。私たちが扱う商品の品質の良さに誰もが驚いていました。越智：矢野さんが100円ショップを営まれる上でのポリシーは何でしょうか。矢野：「お客様第一主義」で来ていたんだなと思います。人生には運が必要ですが、それは自分のためでなく人様を喜ばせるために頑張ることで作り出されます。だからこそ、そのための方法を勉強しなくてはいけません。人生の困難の三つ目は15年ほど前に倒産しかけたことです。でも、「儲けようなんて大それたこと考えず、売れてなんぼ」と信じて安く売りだし、一生懸命頑張り続けて、今広島県で二番目の大企業になることができました。越智：広島県にとどまらず、100円ショップ「DAISO」を知らないという人はほとんどいないのではないでしょうか。矢野：ありがとうございます。大創産業は本社が東広島市にあるのですが、店舗も市内に6店舗あります。広島大学の学生にもなじみがあるかと思います。また、海外にもどんどん出ているので、よく海外に行かれる方に「どこにでもある」と言われることがあります。越智：それくらい、DAISOは日常に溶け込んでいますよね。越智：座右の銘を教えてください。矢野：特にありませんが、「恵まれない幸せ」「ありがとう」ですよね。越智：最後に学生に向けて、メッセージをお願いします。矢野：人生には、いろんなことがありますが無駄なことは何一つありません。人生は修行と捉え、降りかかる困難にも「与えていただいた」と感謝することが大切です。私の人生のキーワードは「ありがとう」。これに尽きます。皆さんが広大に入れたこと、体が元気だったことはあなた方ご自身の力もありますが、さらにはご両親のおかげです。感謝の気持ちを忘れることなく学生の皆さんは広島大学で勉強できる幸せをよくかみしめながら成長し、ゆくゆくは広島県を支えてほしいと願っています。そして体や頭脳だけでなく、心も鍛え、心の通った本当の友人をつくってほしいですね。越智：本日はありがとうございました。学生たちには「なんとなく」そこにいるのではなく、勉強できる幸せを感じながら勉学やさまざまな活動に励んでほしいと思います。「良い商品」にこだわる運は人様を喜ばせる努力から人生は修行「世界に羽ばたく。教養の力」において講演を行う矢野氏
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