HU-plus (vol.10) 2019年度8月号
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 在学中、学部が主催する中学生向けロボットコンテストの運営代表を務めたことがありました。協賛企業や中学校など学外のさまざまな関係者と共にイベントを形にしていく過程には苦労も多く、自分の力不足を痛感したものです。しかし得たものも非常に大きく、地域社会をフィールドとして多彩な活動にチャレンジすることの重要性を学びました。以降の学生生活では積極的にボランティア活動に参加し、地域の方々と関わる中でまちづくりに関心を持つようになりました。 卒業後は東広島市役所に就職し、スポーツ振興課に配属。学生に地域で学ぶ意義を知ってもらうために、市役所職員との交流会を開くなど業務外でも活動しました。そうした中でもっと東広島市に貢献できる仕事がしたいという思いが徐々に強くなり、思い切って市議会議員選挙に立候補。知名度もなく難しい状況ではありましたが、SNSを利用した選挙活動も効果があったのか、東広島市の市議選史上最年少で当選できました。 私は人が何かを成し遂げるとき、「人との出会い」が重要と考えます。多様な価値観やバックグラウンドを持った人との関わりが、人を大きく成長させてくれます。そうした考えの下、学生と地域をつなぐ場としてカフェをオープンしました。私はオーナーとして、学生が構想するイベントやプロジェクトの相談に乗ったり、企画の支援者となってくれそうな人を紹介したりすることで、学生に行動のきっかけを提供しています。学生や社会人など立場を超えて、近い志を持った仲間と出会う場として活用してもらっています。 広島大学の学生はポテンシャルが高いと感じています。例えば以前、中学生の学習支援がしたいとカフェに相談に来た学生がいました。私は彼女の相談に乗り、大学生がLINE(ライン)で中学生の質問に答えるというサービスを一緒に考え、利用してくれそうな中学生の子どもを持つ地域住民を紹介しました。ここからの彼女の頑張りには驚くべきものがありましたね。利用者の意見を取り入れて内容を充実させ、回答する大学生の協力者や利用者を増やして、今やサービスはかなり大規模なものに進化しました。私がサポートしたのは、本人の話を聞いて必要と思われる人とつなぐことだけでしたが、学生が自ら考え行動したからこそ、想いが実現できたのです。関わった学生の成長を目の当たりにする瞬間は大きな喜びを感じます。卒業生として、広島大学の学生にはもっと積極的にチャレンジし世界を広げてもらいたいです。 今後もカフェの経営は続けるつもりですが、これから議員としてやり遂げるべき任務がたくさんあります。私の政策のテーマは、地域を題材とした教育と子育て支援の充実。全ての市民が街に出やすく、それぞれのやりたいことに挑戦しやすい環境をつくりたい。東広島市を「挑戦を歓迎するまち」にするため、私のチャレンジは始まったばかりです。法学部4年さん山下 裕介Report学生広報ディレクター取材を通じ人との「出会い」の大切さ、その「出会い」のチャンスが学内外の至る所に眠っていることを学びました。この記事を読んだ方が1人でも多く地域のさまざまな人と交流できればうれしく思います。ボランティア活動からまちづくりに関心鈴木 英士東広島市議会議員さんすずき・えいじ/広島大学教育学部2009年度卒業、大学院教育学研究科博士課程前期(科学文化教育学専攻 技術・情報教育学専修)2011年度修了。東広島市役所職員として勤務した後、学生と地域をつなぐ場所として広島大学の近くにカフェをオープン。カフェ経営の他にも、広島県の事業「ひろしま里山ウェーブ」で地域コーディネーターを務める。2019年4月、東広島市議に最年少の31歳で当選。積極的なチャレンジで世界を広げよう20Hiroshima University Magazine

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