HU-plus (vol.10) 2019年度8月号
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私もです広島大学を卒業・修了後、各業界で活躍されているOB・OGの方々に学生がインタビュー。現在のお仕事と大学時代を語っていただきました。広大広大学生レポ!学生広報ディレクター 健康に関わる仕事がしたいと製薬会社を志望しました。私が就職活動をしていた時は、バブル崩壊後の就職難の時期。大塚製薬に入社でき、当時女性にとっては狭き門だった研究職に就けたことはとても幸運でした。学生時代の学びや研究で身に付けた技術がそのまま生かせる環境で働けるのはうれしかったです。 入社2年後に開発職に移らないかと声を掛けてもらいました。研究職はゼロから薬を作るのに対して、開発職は新薬候補の臨床試験を経て、厚生労働省に承認申請を行うのが仕事です。患者さんにより近いところで、研究から見いだされた新しい薬を世に送り出すという仕事内容に引かれ、ぜひやりたいと願い出ました。 臨床試験とは、患者さんを対象に、薬や医療用具などの有効性や安全性などを検討するために行う試験のこと。治験薬の投与前後で、患者さんの状態がどのように変化したか、薬の効果が証明されているかなど、さまざまな検査データから確認します。私は、統計解析室というところで臨床試験の方法やデータの解析計画を立案する業務を行っています。「正解」のない業務なので、良い結果が出ない時は自分の考えが正しかったのかどうか悩むこともありますが、チームのメンバーに助けてもらいながら日々仕事に向き合っています。患者さんに新しい治療薬を提供できることはもちろん、チームで一つの目標に向けて支え合えることが、やりがいにつながります。 現在私は、統計解析室のがん疾患チームのリーダーを務めています。以前は一人の専門家としてチームへの貢献を考えていましたが、これからは周りのサポートや働きやすい環境づくりに尽力したいと思っています。 学部2年の時、それまで通っていた東千田キャンパスから、東広島キャンパスで授業を受けるようになりました。街中を離れ、周りを田んぼに囲まれた知らない土地での一人暮らしに、心細く感じたことを覚えています。慣れない環境の中で友人や先輩、先生など身近な人同士で助け合い、つながりが深まりました。自分でできるところまで考えて、困ったら周囲の人と協力して解決するという考え方は、現在の仕事にも通じています。 また、学生の頃から変わらないのは、何事にも好奇心を持って前向きに取り組む姿勢。目の前のことを楽しんで何でもやってみる精神があれば、問題に突き当たった時にも突破口が見えてきます。後輩の皆さんも、幅広く興味を持っていろいろなことに挑戦してほしいです。新しい治療薬の臨床試験にチームで協力して取り組む教育学部4年さん野村 健悟Report学生広報ディレクター気さくな方で、なじみのない創薬の仕事についてとても分かりやすくお話してくださいました。自分の専門分野をうまく人に伝えるコツをお聞きすると「とにかく多くの人に説明してみて、ベストな表現を作り出すこと」とアドバイスいただき、ためになる経験ができました。下古谷 直子大塚製薬 新薬開発本部さんしもふるたに・なおこ/広島大学生物生産学部1995年度卒業、大学院生物圏科学研究科博士課程前期(生物機能科学専攻)1997年度修了。1998年に大塚製薬株式会社に入社。2年間研究職に従事した後、現在の新薬開発本部に異動。同バイオメトリックス部統計解析室で課長補佐を務める。何でも楽しむ好奇心と前向きな姿勢で困難は乗り越えられる19

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