HU-plus (vol.10) 2019年度8月号
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体と頭を動かしながら  チームで「健康」を探究学問分野:複合領域/健康・スポーツ科学/スポーツ科学キーワード:ダンス、運動強度、健康、骨、体操人数:学部生5人、大学院生3人、教員1人その他連携先:生協ひろしま03teamDATA黒坂 志穂 (くろさか しほ)研究室大学院教育学研究科 健康スポーツ科学講座REPORT潜入チーム広大 黒坂研究室の片隅には1~2mほどの棒が数本立てかけてある。これは肩に担いで骨をこする体操のために作られたオリジナルの道具だ。研究室では、骨と健康の関係に着目したユニークな研究が行われている。 日本人によく見られる腰痛や足の外反母趾。これらは、腰を曲げての農作業や長時間のスマホ使用など日頃の習慣により骨が経年劣化してしまった結果で、簡単には治らない。改善のためには、変形した方向とは逆側に毎日少しずつ負荷をかける必要がある。黒坂准教授は「健康づくりは、楽しくあるべきだ」という考えのもと、独自の体操や道具を開発。部分的な筋肉を鍛える筋トレと違い、骨格構造を考慮した動きで「骨は固く、筋肉は柔らかく」なるよう、無理な負荷をかけることなく行える。 研究室では週に1回、生協ひろしまと共催で地域の高齢者向けに体操教室を実施。家庭でも手軽にできるトレーニングを楽しく学べると参加者に好評だ。もちろん学生たちも一緒に体を動かす。体操を教えながら、地域の人々とコミュニケーションを取る試みは、研究にも生かされている。他にも広島大学の公開講座や小中学校向けの出前授業など、体操教室の依頼は絶えない。 研究室のメンバーは全員何かしらのスポーツ経験者。研究や実験では自分の体からデータを取ることもある。「学生たちには、知識を深めてそれぞれで体操教室を開けるようなレベルの人材になってほしい。そのためにも、まずは健康という状態を正しく理解し、自身の体に良くない姿勢や習慣に対する問題意識を常に持ってもらいたい」と黒坂准教授は語る。骨を鍛えなければならないのは、高齢者だけではなく若者も同じだ。生活習慣が乱れやすい現代において、その重要性は一層高まっている。研究室の目標は体操教室を全国各地に広げていくこと。年代を問わず、皆が「健康」に長生きできる社会を目指す。健康の秘訣は丈夫な骨と正しい骨格構造にあった!骨を鍛える体操で、誰もが健やかに暮らせる社会の実現へ15

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