HU-plus(Vol.1)2016年11月号
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 先進機能物質研究センター長の小島由継教授は、アンモニアから燃料電池自動車の燃料に使える99.97%の高純度の水素を取り出す実験に世界で初めて成功。昭和電工、産総研、豊田自動織機、大陽日酸と協同して、燃料電池自動車用水素ステーションでの実用化に向けて動いています。アンモニアを水素燃料に利用できれば、CO₂削減に大きく貢献すると期待されます。 大学院医歯薬保健学研究院の山脇成人教授は、うつ病の脳科学研究の第一人者ですが、現在、文部科学省の革新的イノベーション創出プログラム(COI)で、これまで客観的に数値化することが困難とされてきた「ワクワク」「うれしい」といった感性を脳科学の観点から可視化(見える化)する研究とその技術の社会実装に取り組んでいます。感性工学を長年研究してきた自動車メーカー・マツダが参画しており、「ワクワク」する車の開発につながることが期待されます。また、TOTO、サッポロホールディングス、凸版印刷、コベルコ建機などの企業も参画しており、衣・食・住の幅広い分野で感性可視化の社会実装を目指します。 このほかにも、化工物性、教育学、外科系歯学などの研究分野が広島大学の強みであり、文部科学省の科学研究費助成事業において、過去5年間(2011~2015年度)の採択件数が全国1位です。 企業などの研究者と行う「共同研究」の件数は、年間約370件。さまざまな産学官連携商品が生まれています。2015年6月には、自動車メーカー、広島県や広島市と共同で県内自動車産業の活性化を目指す「ひろしま自動車産学官連携推進会議」が発足し、広島ならではの産学官連携として注目されています。 企業などからの継続的なニーズに対応できるよう、これまでに企業25社を含む66件の包括的協力協定を締結し、組織的にも研究や人材育成に取り組んでいます。山脇教授は「fMRIや脳波を用いてワクワクしている時の脳の動きをとらえることが可能となりつつある」と語る。マツダと連携して運転状況を模した環境下での脳活動を計測することにより感性の可視化技術の開発とその社会実装にチャレンジしていく。小島教授のアンモニアから水素を取り出す実験では、アンモニアガスを触媒で分解し、水素と窒素の混合ガスを生成。微量に残るアンモニアを極限(0.1ppm以下)まで取り除く驚くべき技術だ。世界から熱視線!“車の未来”はここにある産学官の知を結集させ「社会に役立つ」研究を前川製作所との協定調印式2016年に締結した包括的協力協定 締結企業など●オタフクソース株式会社(2月)●医薬品医療機器総合機構(3月)●広島県中小企業診断協会(4月)●復建調査設計株式会社(5月)●福山通運株式会社(5月)●コベルコ建機株式会社(6月)●株式会社にしき堂(7月)●株式会社前川製作所(9月)●4者協定(広島大学、広島県障害者スポーツ協会、 特定非営利活動法人STAND及び広島県)(10月)012

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