HU-plus(Vol.1)2016年11月号
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2016年3月、広島市中心部の東千田キャンパスに誕生した鉄筋4階建てのビル。名称は「東千田未来創生センター」。ここでは医・歯・薬学部の1年生の約400人が教養教育を受講しています。その後、専門科目が増える2年生からは大学病院を併設する霞キャンパス(広島市)で主に学びます。従来は東広島キャンパスで受けていた教養教育の多くを広島市内で受けられるようになったため、入学当初から広島市に生活拠点を置けるようになりました。将来的には、社会人大学院教育や広島市内の他大学との連携事業の拡大なども想定。都心部にある利便性を生かした「学びの拠点」としての期待が高まります。 広島大学が世界に誇る最先端の研究施設は数多くあります。たとえば、原爆放射線医科学研究所では被ばく医療と放射線人体影響の研究を推進。放射光科学研究センターでは物質のもつさまざまな性質に放射光を用いてアプローチ。いずれも文部科学省により共同利用・共同研究拠点に認定され、国内外に開かれた研究施設として多くの研究者に活用されています。 図書館の希少文献にも注目です。中央図書館所蔵の1827(文政19)年の「庭訓往来」(寺子屋で使用)や、1872(明治5)年の福澤諭吉「学問のすすめ」など、江戸時代の往来物から現代の教科書までを集めたものはその代表です。 その他にもマルクスの「資本論」第1巻初版本やフランス語版の「資本論」初版本など、社会科学関係の貴重な資料を多数所蔵しています。 2014年には中国・四国地区の大学で初めて自動書庫システムを導入しました。約87万冊が収納でき、パソコン操作により、数分で資料の出し入れが可能となりました。 口径1.5mの「かなた」望遠鏡を備えた施設として知られるのが広島大学宇宙科学センターの「東広島天文台」です。他の研究機関との協力体制のもと、観測史上最大級の明るさの超新星の発見や超巨大ブラックホール周辺の構造解明など、数々の成果をもたらしています。広島市南区の霞キャンパス。医・歯・薬学部、大学院医歯薬保健学研究科が設置されている。敷地内に広島大学病院や原爆放射線医科学研究所なども併設。中国・四国地区の最先端医療の中枢であり、教育・研究・臨床の情報拠点としての役割を担っている。広島大学宇宙科学センター附属東広島天文台。天体からの微弱な光を捕らえ分析し、宇宙や天体の構造・進化を研究している。2006年5月開所。345人を収容できる大講義室を含む講義室10室のほか、テーブルごとにホワイトボードを設置したグループワーク室、少人数用の研究室などを備える。放射光科学研究センターは、1996年度に発足した国立大学では唯一の放射光実験施設だ。広島市内に学びの拠点が誕生世界に誇る研究施設も充実研究者の心を揺さぶる希少文献を多数所蔵超新星の発見やブラックホールの研究で成果をもたらす天文台010
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