ブックタイトル主体的に学ぶ力を育成する授業を!

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概要

主体的に学ぶ力を育成する授業を!

(4)授業の実施方法 授業の目的と到達目標が決まったら,それに合致した授業方法を工夫しましょう。講義形式は知識伝達法としては非常に合理的です。しかしながら,学生が自ら知識を結びつけてそれらを応用展開し,課題を発見して解決させる能力を培わせるためには,他の様々な授業形態・方法を取れることが有効です。例えば,学生主体の授業方法を活用することによって学習効果を高める方法もあります。また,講義室外でビデオコンテンツなどを用いて自学自習させ,講義室では協働学習を行う反転授業や,演習,協働学習1,話し合い学習法…(Learning…through…discussion)… を取り入れることも効果的でしょう。クォーター制の導入で2コマ(90分×2)連続での授業の実施が可能となり,これらの様々な授業方法を取り入れ易くなっています。これらのことにより,教員の立場は壇上の賢人から学習者に寄り添う導き手となることができます。さらに,教科書の選択やICT(information…and…communication…technology)機器の導入も授業の実施方法の検討段階で判断することになります。ただ気をつけなければならないのは,学生の学びに対する動機付けを高めることが目的であり,教員から学生への一方通行(押しつけ)にならないように留意することです。教科書やICT機器の活用は学生主体の授業方法に必要なツールですので,学生から教員への質問や疑問,意見を受け止めることができる双方向型の授業となるような工夫が必要です。… 次に1回ごとの授業計画を立てるとともに,成績評価方法と評価指標を設定します。専門分野によっては最終試験だけで評価する授業もありますが,一般には複数の評価方法及び評価指標を併用する方が学生の学習意欲向上につながることが多いと考えられています。学習の進捗に応じて授業時間中に評価とフィードバックを繰り返すことによって,学生の学習意欲を喚起したり,誤った学習内容の理解を修正したりすることができます。(5)成績評価方法の設定 成績評価の指標としては,学生が評価に対して納得できるものが必要となります。なぜなら,授業でどのような能力を身につけると単位として認定できるのかといった説明責任が教員には求められているからです。したがって,学生の立場からみても「これしかできていないなら単位は取れていないな」と判断できる評価基準を示すことが大切になります。例えば,シラバスに「新聞記事を読んで内容を要約し,それに対する意見を論述することができる」,「プレゼンテーションソフトを用いて自分の研究課題について理論的に発表することができる」といった具体的な基準を記載しておきましょう。また,成績評価の指標は,プログラムなどの到達目標に基づいて行わなければなりません。それゆえ,到達目標に紐付いた各評価項目を,ルーブリック(知識や能力の到達度を段階的に分解したもの)などを使用して評価することも,評価の透明性から重要なことです。特に,同一科目複数開講科目においては,担当する教員全員でルーブリックを共有し,指標を統一して評価しなければなりません。 到達目標を達成できた学生には,単位が与えられます。最低限の到達目標をクリアした学生には「可」の評価が,また,それよりも優秀な場合には,順次「良」,「優」,「秀」という評価になります。例えば,大多数が「秀」あるいは「不可」というような著しく偏った評価になった場合,プログラム担当教員会で,その授業の「設定目標の適切性」「評価基準の適切性」「授業内容・方法の適切性」などを吟味することも必要でしょう。 よく誤解されるのですが,厳格な成績評価とは,試験を難しくしたり合格最低点を高くしたりして,意図的に多くの受講生を“ 落とす” ことではありません。そうではなく,あらかじめ定められた評価方法や評価指標・評価基準を厳しく守り,いい加減な評価をしないということなのです。 大切なのは,恣意的な判断の余地を最小限にして,公平性・客観性を保つことです。そのために,評価指標や基準を明確に定めてシラバス等で開示しておき,できる限りそれに沿って客観的な評価をするよう心掛主体的に学ぶ力を育成する授業を! 5