ブックタイトル主体的に学ぶ力を育成する授業を!

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概要

主体的に学ぶ力を育成する授業を!

(1) シラバスの意義と記述内容・方法 シラバスは,学生が授業を選択する際の資料です。しかし,シラバスの機能はそれだけではありません。シラバスは,授業の一部です。学生を主体的な学びに導き,学生が自律的に学習を進めていく上での学習指針ともなるものです。そのためには,授業の全体像が学生にわかりやすく記載され,全体のなかで現在どの部分を学習し,どのような能力を高めようとしているのかを学生が理解でき,また,その部分を学習することが次のどの部分の学習につながっているのか,を教員と学生が共有できるように,明快に示すことが求められます。そのためには,未修者にもわかりやすい用語や表現で記載することが重要です。丁寧かつ詳細な内容を書くことで,しっかりと計画された授業であることを印象づけることができます。こうした事前のイメージが学生の受講態度にも影響を与えます。項目のみの羅列は避け,説明の手間を省かず,この回の講義では〇〇の目標があり,〇〇の力を培うなど,授業の内容を分かり易く伝える文章で,シラバスの作成を心掛けましょう。 なお,シラバスはプログラム担当教員会における授業内容検討の重要な資料ともなり,学生のみならず他の教員が読むことにより授業内容の調整やその授業科目との連携に利用することもあります。そのため,学習内容の領域や難易度を理解し易いように各講義科目には「ナンバリング」が行われています。ナンバリングの意味とそれが付された講義の難易度を理解して,シラバスを作成してください。(2)担当科目の位置付け 「どのような学生が受講し,どのような力をつけさせるのか」という視点に立った授業をデザインする際に,まず確認しなければならないことは,ナンバリングとともに履修する学生の学年や学科,履修者数,その授業が必修科目なのか選択科目なのか,資格取得に必要な科目であるか等の基本的な科目情報です。 重要なことは,担当授業科目がカリキュラム体系のなかでどのように位置付けられているかを十分に把握することです。例えば,プログラムの基礎科目であれば,他の基礎科目とどのように関連するのか,翌年次の科目とどのように関連するのかといったことも考慮に入れておきましょう。その上で担当する授業で修得させるべき知識・技能・態度等は何かを判断し,それを授業デザインのなかに盛り込むようにします。大学のカリキュラムを無視したような独りよがりな授業にならないことが重要です。授業は個々の教員に依存するのではなく,体系化された教育プログラムの中で設定されるものです。 なお,大学教育に求められる基礎学力や課題把握力の十分でない学生も散見されるようになってきていますので,授業の進度や方法は毎年同じ内容になるとはかぎりません。学生の反応を見ながら授業の内容や方法を改善して,シラバスを作成した方がよいでしょう。(3)授業の目的・到達目標の設定 学生の学習状況と担当科目の位置付けを把握した上で,授業の目的と到達目標を明確に設定しましょう。授業の到達目標は,教員が到達したい理想ではなく,すべての学生が最低限到達すべき水準を明示するものです。ですから,到達目標は,学生を主語にして「~ができる」という形式で書くことが基本となります。教員の立場から理想的な目標を掲げるのではなく,できる限り学生の視点に立って,具体的な学習成果を明示し,どの程度の学習成果をあげれば単位を取得できるのかをわかりやすく示しましょう。そのことにより評価基準も自ずと明確に提示できるでしょう。 授業の到達目標と評価基準を明示する目的は,教員が学生に学習目標をはっきりと示し,評価の公平性を担保することによって,学生の学習意欲を高めることにあるという基本を忘れないようにしてください。1 教育内容の充実と教育方法の改善のために - 授業設計の方法 -4