ブックタイトル主体的に学ぶ力を育成する授業を!

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概要

主体的に学ぶ力を育成する授業を!

 学生の自発的な学びを促す方法の一つにPBL…(Problem-based…Learning)があります。広島大学では,問題発見解決能力を涵養する方法として,複数領域の学生からなるグループによるハーモナイゼーションPBL(以下,H-PBL)が実施されています。総合科学部でも,その一環としてのH-PBL が実施されていますので,その実施形態と工夫について紹介します。1.総合科学概論におけるPBL 総合科学部でのH-PBL は,1年次後期に必修科目である総合科学概論で実施しています。「世の中の問題に文系・理系は関係ない」ことを実感してもらい,多角的な視点からの分析と解決が重要であることを学ぶために,H-PBL を活用しています。総合科学部はH25 年度から新プログラムに移行し,人間探究・自然探究・社会探究の3つの教育領域から構成される1つのプログラムになりました。より学際的な学びができるよう,グループワークに先駆けて,各教育領域から総合科学の実践例を紹介してもらいました。学生たちは,それを参考にしながら,自分たちの興味に基づいてグループで協議をし,グループワークのテーマを決めます。学生グループは,異なる視点からの議論ができるように,文系・理系や受験の形態等のバランスに配慮したメンバー構成にしています。2.総合科学概論の実施形態 総合科学概論の後半7回をPBL に当てています。約140 名の学生を5~6名ずつの24 グループに分け,教員3名とTA8名で担当しています。1教員が8グループを担当し,1人のTA が3グループを担当します。教員は全体の進行の把握と問題が起きた場合の対応を担当し,TA が学生の討論状況の把握とファシリテーターの役割を担当しています。PBL を実施する上で,グループワークの仕方についての事前講義を行うとともに,実施マニュアルを配布して学生自身で進められるようにしています。グループワークは5回実施し,その後発表会を2回に分けて行います。また,課題を出すことで,問題を明確化できるようにしてあります。グループワークは以下の順序で進めて行きます。 ①グループごとにメインテーマを決定する。 ②個人ごとに自分の担当するサブテーマを決定する(複数学生による担当も可)。 ③サブテーマについて各自で調べ,グループ内でその成果を発表する。 ④サブテーマの成果をとりまとめ,全体発表会の準備を行う。 ⑤成果の発表(指定討論のグループによる質疑)。 ⑥個人ごとに小論文(4,000 字程度)を提出させる。3.学生たちの興味・能力を引き出すために 学生たちの興味を引き,積極的にH-PBL に参加してもらうために,以下のような工夫を行っています。その試みすべてが有用だとは思いませんが,皆さんのお役にたてば幸いです。①…グループメンバーは,文系受験者・理系受験者,および前期入試・後期入試が比較的同じになるよう配置し,興味が特定の領域に偏らないよう配慮しました。また,グループでの自己紹介の際,自分の得意分野をふまえたアピールを行わせ,個人のテーマを決定する際や作業を行う際の情報として役立てました。② …KJ 法によるカテゴリー化は,模造紙をホワイトボードに貼り立って作業を行うと,学生の関わり方がよく把握でき,主体的な学びが容易にできました。縦位置になるため作業を行う上でも見やすく,関連情報をホワイトボードに書いていくことができます。写真を撮って記録しました。③…最初に評価の視点を説明し,グループワークへの参加状況を重視することを伝えておくことで,PBL への学生の積極的参加を促しやすくなり,学生相互の協力も得やすくなりました。5 学生の主体的な学びを促進するために (2)PBL の活用主体的に学ぶ力を育成する授業を! 13