ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

69②学生ボランティアとして復興の流れ 地域おこしに総合科学部 2年(つながり隊 第5次派遣隊長)  寺本芳瑛 つながり隊第5 次派遣隊は平成24 年8月20 日~8月31 日、宮城県内の仙台市若林区、石巻市、岩沼市、亘理郡亘理町、山元町で主に6つの活動を行った。 1つ目は仮設住宅での住民の交流を促進することを目的とした交流会である。集会所で行われるこの企画では、住民の方々と共に手芸・切り絵・木工をし、傾聴活動も同時に行った。 2つ目は世帯訪問である。仮設住宅の住民の要望に応えて戸別に直接訪問し、換気扇掃除などのお手伝いや傾聴活動を行った。交流会のような比較的大きなイベントでは拾えない小さなニーズに応えることを目的とした。 3つ目はいちご農園ボランティアである。山元町には多くの被災したいちご農園がある。いちご農園の復興を目指す一般農家と法人団体が管理している農園でお手伝いをした。 4つ目に仙台のボランティアセンターが主催するボランティアに参加した。畑を掘り起こし、土中にあるがれきを除去する作業を行った。 5つ目は、主に仮設住宅に住んでいる子どもたちを対象にした子ども支援である。学習支援と外で思い切り遊ぶレクリエーションを行なった。 6つ目は、被災地の学生と共に震災復興支援の在り方について議論する「つながりトーク」である。グループに分かれて被災地の学生と広島の学生が協力して行う震災復興支援を共に模索し、最後に全員でシェアを行った。 これら6つの全ての活動に共通しているのが、被災地の大学生、高校生と共に活動を行ったということである。特にいちご農園ボランティアでは、非常に多くの高校生に参加して頂き、活動後も自主的にボランティア活動を続けているようである。 大変であったことは、参加したメンバーの健康状態をボランティア活動が十分できる状態に維持することであった。派遣中、夏の猛暑とタイトなスケジュールの中で、体調を悪くするメンバーもいた。このためミーティングの終了時間を早め、予定を変更して休養時間を取れるようにするなどの対策を考え、最も神経を使った。今後の派遣では、メンバーが万全な状態で活動に専念できるような環境を作ることに、より注意を向ける必要がある。 現地に赴いて、被災地の復興の流れが地域おこしに移り変わってきていることが見て取れた。訪ねた仮設住宅では自立を妨げるような「支援」は拒否された。 被災地の多くの人々が被災地復興に向けて日々努力している。山元町のシンボルであり、津波によって深刻な被害を受けたいちご農園を再興させようと頑張る農家の方や、生徒会を中心に被災地復興を胸にボランティアに立ち上がる高校生にも出会った。私たちはこの流れを応援し、後押しできるような団体でありたいと思う。そして、これからも被災地の人々にとっての心の拠り所であり続けたいと願う。山元町の山元いちご農園にて、メンバーと代表の方が交流しながら作業をしている様子