ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

68第4章 全学に広がる震災への取り組み②学生ボランティアとして求められるニーズは人の数だけ経済学部 3年(つながり隊 第4次派遣隊長)富家 紬 平成24 年3月10 ~ 18 日、つながり隊第4次派遣隊は宮城県石巻市、仙台市若林区、岩沼市、名取市を拠点に活動を展開した。主な活動は世帯訪問・交流会・子ども支援・ワークショップ開催の四つだ。全活動を現地の学生と共に行うことで、現地とのネットワークの構築・強化を目指した。準備段階から第3次派遣隊と共同で進めて行き、活動期間も近いことから、現地の学生が継続して参加してくれるなどの効果があった。 平成24 年3月10 日、石巻観光協会の方々に協力を頂き、石巻を視察。11 日、東北大学で開かれた「市民とボランティアの集い」に参加する。12 日、仙台市若林区のニッぺリア仮設住宅にて交流会を開く。13・14 日、岩沼仮設住宅にて、世帯訪問、交流会、子ども支援を行う。15 日、仙台市市民活動サポートセンターにて「つながりトーク」を行い、地元の学生との交流を図る。16・17 日、名取市の美田園第二仮設住宅にて、世帯訪問・交流会・子ども支援を行う。18 日、名取市の下増田公民館にて、子ども支援を行う。 活動を進めていく中で、「支援」とは何か、ボランティアとは何か、被災地で求められていることは何かという疑問に直面した。活動案の準備段階から、実際に被災者の方々と面と向かうことで、私たちの活動が本当に被災地の方々のためになっているのかと悩んだ。 一日の活動後にミーティングや翌日の準備を行いながら、そういった悩みが焦りによって無理をしてしまうメンバーもいた。それが翌日に響いている様子も見受けられた。このことからボランティアをするには、まず自分が元気で健やかであること、きっちりとした自己管理が大切であると痛感した。 今回の活動で入らせていただいた仮設住宅はそれぞれ雰囲気や地域性が違う。仮設住宅に住む被災者一人一人も性・年齢・考え方がそれぞれ異なる。その中でずっとニーズを探っていたが、私たちは全体のニーズ、東北のニーズに目が向いてしまっていたと感じる。人の数だけ求められていることがあり、目の前にいる個人が本当に求めていることがニーズであると気付いた。 震災から時が過ぎていく今、私たちがすべきこと、震災のことが忘れられないように見たこと、感じたことを伝えていく活動だ。ボランティアをする上で多くの課題があるが、それに向き合い、私たちにできることは何だろうかと考え続けることも必要である。そして、何より重要なことは「目の前にいる人を大切にする」という姿勢だと感じる。ボランティアをする自分もそうだが、普段の自分もどうだろうかと見つめ直していきたい。ずんだもちを作りながら談笑する様子(仙台市若林区ニッペリア仮説住宅の交流会にて)