ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

66第4章 全学に広がる震災への取り組み②学生ボランティアとして仮設住宅の世帯訪問で要望を聞く経済学部 3年(つながり隊 第2次派遣隊長) 一木  星 平成23 年12 月1日~ 12 月8日、宮城県石巻市、岩沼市、仙台市、亘理町を訪れた「つながり隊」2次派遣隊長を務めた。仮設住宅集会所で開いた「交流会」では、4つのブース(フリースペース、はがきづくり、折り紙、手芸)を設置し、仮設住宅の住民を招いて交流を行った。 各家庭にあらかじめ「お手伝いしてほしいことはありますか?」という内容のアンケートを配布し、要望のあった家庭を一軒ずつ訪問した。要望の内容としては「換気扇の掃除をしてほしい」「大きな声で歌をうたいたい」「お話がしたい」などさまざまであった。 1度目の派遣から3 カ月が経過しており、被災地のニーズが変わっていることが予想された。震災から9カ月というこの時期に、何が求められているのか、私たちに何ができるのかを把握することが難しかった。東北大学の学生と連絡を取りながら、ニーズを調査し、阪神淡路大震災のデータも参考にした。活動人数が23 人と多く、活動範囲も広かったため、宿泊場所の確保・決定に時間がかかった。 活動の中で気づいたのは、拠点が増え仮設住宅によってシステムや雰囲気が異なることだった。予想した通りに進まないこともあり、それぞれの仮設住宅にあわせた活動を行う必要性を感じた。 新たに加えた世帯訪問は、さまざまな理由から集会所に集まることが困難な人に対してもサポートを行うことができ、大変良かった。しかし、「人に頼むのは申し訳ない」という思いから、アンケートに答えない世帯も多かった。このような気持ちを考慮して、アンケートの取り方を工夫する必要がある。 交流会は「広島と東北をつなぐ」「仮設住宅に住む人同士をつなぐ」という目的を持って行った。今回、交流会で知り合った人が友達になり、一緒に自宅へ帰る姿が見られた。また、1次隊で訪問した仮設住宅では、前回一緒に楽しんだ鶴づくりを住民同士が教え合いながら続けていた。日中することがない仮設住宅のお年寄りに、趣味をプレゼントすることができたと実感した。この仮設住宅では、前回の訪問メンバーの名前を覚えている人もたくさんいて、「また来てくれてありがとう。」と声を掛けていただいた。同じ仮設住宅を継続して訪問することの重要性を感じた。 震災から時がたつにつれ、ボランティアの数も減り、孤独を感じる被災者が増加することが予想されるため、活動を継続することが求められる。しかし広島から頻繁に出向いて支援を行うことは難しく、ニーズを把握することも大変であるため、今後は東北に住む学生を巻き込んだ活動を展開することが必須である。 派遣を継続するだけでなく、現地での気づきや現在の被災地の状況を広島で伝える活動をすることも大切である。 「忘れないで」という被災地のメッセージを発信し続けていきたい。一人ひとつずつ、みんなでお話ししながら、おいしくいただきました