ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

65②学生ボランティアとしてうれしかった「また来てね」 の言葉総合科学部 4年(つながり隊 第1次派遣隊長) 榎本咲良 平成23 年9月14 日~ 20 日、初めての現地派遣であるつながり隊の1次隊は、宮城県仙台市のニッぺリア仮設住宅で手作り製作イベントを開催した。家にこもりがちになっていると報道されていた被災地のお年寄りの方々にもう一度趣味をもっていただこうと、手芸と折り紙で小物を作った。より広島とのつながりを感じてもらうため、広島大学の他団体との共同企画ではがきとキャンドル作りにも挑戦した。活動の合間に協賛していただいた広島・西条・広島大学名物のお菓子を配り、最終日にはお好み焼きを目の前で焼いてふるまった。空いた時間にはボランティアセンターが企画するがれき撤去などのボランティアに参加した。 最も苦労したのは、現地に知人もおらず、ボランティア経験も乏しい中で、ゼロから企画しなければならなかったことだ。活動内容、ニーズ調査、現地とのつながり作り、物品・資金調達、メンバーの公募など、すべてが手探りで、いくつもの案が白紙になった。なかなか進まず、苦しい日々が続いたが、「被災者のために何かしたい」という、ただそれだけの想いで駆け抜けた半年だった。 準備期間も含めた半年間の活動を振り返ると、もっと現地の人々と連携しながらやっていけたらよかったと悔いが残る。自分たちだけでできることには限界があり、思いだけではどうにもならない。ニーズを把握することの難しさと共に、「何のためにやっているのか」という目的意識を団体として共有する重要性も感じた。 メンバーそれぞれの知識、経験が不十分で、準備不足は否めなかった。緻密な役割分担や段取りを決めたり、何度もリハーサルを行ったりできていれば、より良い活動ができたのではと思う。その一方で、メンバー全員が同じゴールを目指すことで、より大きな力を生み、より大きな達成を生むのではないか、という手応えもあった。 多くの不備により、メンバーにも現地の方々にも多くの迷惑をお掛けしたが、活動に参加してくださった方々は不慣れな私たちにとても優しく、気さくに接してくださった。元気づけに行ったはずの私たちが、逆に元気をもらうこともしばしばあった。 「本当に楽しかった。また来てね」と言っていただけたことは、とてもうれしかった。被災者と直接触れ合ったり、被災地を自分の目で見たりすることで、より被災地が身近に感じられた。遠い広島からでも、同じ日本に生きる仲間として復興支援に関心を持ち続けていく力を得たことが最も大きな成果であったのではないかと思う。初めての企画で人が集まるのか不安だったが、交流会にはたくさんの方が参加してくれた