ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

59①専門家として母親が母乳への影響を心配している」と相談を受け、測定を引き受けた。避難してきた6人と、以前から広島在住の1人の母乳を測定した結果、避難してきた1人と広島在住の1人の母乳からセシウムが検出された。その後、2度目に行った母乳検査でセシウムが検出された人はなかった。母乳汚染の原因は食材にあったと考えられる。5.南相馬市の環境放射能調査 副学長の下に6月、福島放射線災害復興支援チームが発足し、生物圏科学研究科の長沼毅准教授とともに南相馬市で調査することとなった。各種の食材、地下水、水道水、田畑の土壌のほか、住民から要望があった民家周りや家屋内部の空間放射線の測定を行った。さらに、地上からの舞上りや森林からの飛散を調べるため10 月から大気ダストサンプリングを1年間続けた。その結果、舞上りはほとんど見られなかった。また、用水路の汚染に対する不安も強いため、用水路の水と底質土を測定した結果、用水路の水は汚染されていないものの、底質土にセシウムが濃縮されていることが分かった。 引き続き、市内を流れる主要河川(新田川、太田川、水無川、真野川、小高川)の河口から上流までの調査を行っている。これまでの結果から河口の底質土では汚染は低く、上流ほど汚染が高いことが示された。上流は福島原発の北西方向にあたり、高い汚染があることが知られている。上流の汚染が下流にどのように広がるのか、除染作業により下流に影響が出るのか継続して調査を行う必要がある。 調査報告会を平成23 年11 月と24 年5月に市内で開き、それぞれ市民約100 人が参加した。南相馬市における環境放射能調査サンプリング(平成24 年3 月)