ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

49③原発内の救急医療室救急医療室看護活動マニュアルを作成病院看護部 ICU 副看護師長 飯干亮太 東日本大震災発生から4 カ月後の平成23 年7 月、東京電力福島第一原子力発電所5・6号機前にあるサービス建屋内の1 階に救急医療室(以下5/6ER)が設置された。当初5/6ER には看護師が常駐しておらず、医師だけで最良の医療を提供するのは困難な状況であった。 そこで全国各地の診療施設から男性看護師が派遣され、5/6ER に常駐する体制がとられた。私は5/6ERに23 年11 月と24 年2月の2回派遣され任務を遂行した。5/6ER における看護師の役割は①傷病者の看護および医師の診療介助②救急医療室の診療環境の整備及び管理である。 私が任務についた全期間で、5/6ER を受診した作業員は3人であった。手指をケーブルに挟み挫傷した作業員の縫合介助や感冒症状の作業員の診察介助、鼻出血が止血しない作業員の徒手圧迫による止血及びボスミンガーゼ挿入介助などを行った。 5/6ER には衛生材料、内服・外用薬、注射薬、ME機器などが配備されており、衛生材料と薬品の定数チェックや物品配置の整備、ME 機器の点検を行った。また、被ばく傷病者搬送に使用する救急車内の衛生材料の定数チェックや医療機器の点検も同時に行った。 5/6ER では看護師が2日間のシフトを組んで任務を行う状況であるため、着任後すぐに看護活動ができるように整備する必要があった。 私は統一した看護活動を実施するには、引き継ぎをいかに効率よく行うかが鍵であると考え、前述した活動の合間を利用しマニュアル作成に取り組んだ。5/6ER の看護師活動要領はあったが、実際に看護師の活動内容が一目でわからないため、まずは、「5/6ERでの2日間の任務の間に看護師が実施する事項」を作成した。その後改良を重ね、引き継ぎのポイントを明記した「5/6ER 看護師活動マニュアル」を作成するに至った。 ただ、任務が短期間のシフト制であり、全国各地の診療施設から派遣される看護師で構成されているので、有効な引き継ぎができていたかどうか評価できておらず、不安が残る。5/6ER で最良の医療を継続するために大事なことは、有効な引き継ぎができるシステムを構築し、そのシステムを全国各地の看護師が遵守し実践することである。また初対面の看護師同士が短い時間で引き継ぎを行うため、常日頃から高いコミュニケーション能力を養っておくことも大事である。5/6ER の診察室での薬品チェック