ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

47②住民の一時立ち入り支援声掛けのありがたみを実感病院運営支援部 医事グループ 専門員(当時:病院情報システムグループ 主査) 都田賢吾 私は緊急被ばく医療派遣チームとして、住民の方々が避難警戒区域(福島第一原発から20km 圏内)へ一時立ち入りするための中継会場での用務にあたった。中継会場は福島第一原発から20km 辺りにある田村市古ふるみち道体育館である。中継会場での用務は平成23 年6月4日から6日の3日間であった。 6月3日の夕方、福島市の県自治会館にて、翌日から始まる一時立ち入りの目的、各自の役割、手順などについて資料に基づく説明会に参加した。 私たちの活動内容は、中継会場フロア統括、統括補佐、緊急被ばく医療派遣チーム(医師、看護師、放射線技師等)支援、連絡調整である。事務職員である私の主な活動は、一時立ち入りされる住民の方々の安全と安心を確保するため、医療派遣チーム内だけではなく、中継会場内で活動する厚労省、警察、消防、自衛隊、電事連など、さまざまな立場の人たちと情報を共有するための連絡調整、立ち入りされる方々への問診票の配布、回収、立ち入り人数の集計、作業内容説明、立ち入り後のスクリーニング場所への誘導であった。 特に苦労した点は、立ち入りする人数の集計である。住民の方々とともに、立ち入るためのバスの運転手、放射線管理者、安全管理者、警察、消防、ペット回収業者に加え、報道関係者も立ち入ったため、それぞれ名簿の確認など、短時間で行う必要があった。初めての参加となった4日は簡単な作業すら要領を得ず、ただただバタバタと走り回っていただけである。 反省点や教訓と言えば、すべてにおいて迅速な対応、適切な連絡調整ができなかったのではないかという点である。予備知識もなく被災地へ向かった3 月と違い、今回は事前に活動概要などの打ち合わせを行ってはいたが、会場の雰囲気、様々な関係者とのやりとり、特に住民の方々への声掛けなど、現地でないと分からないことばかりで戸惑いが多かった。 中継が始まった日、当日の中継会場フロア統括責任者であった谷川攻一先生が「住民の方々が安全に、安心して一時帰宅できること」という明確なミッションを示してくださり、丸山博文先生ほか22 班メンバーで打ち合わせ、反省会を行った。住民の方々が私に掛けてくださった感謝の言葉のお陰もあって、十分ではないにしろ大きな判断ミスもなく活動を終えることができた。 これらの経験で私は改めて意識や情報の共有の重要性を感じ、また、声を掛けられること、気に掛けてもらえることのありがたみを感じた。住民説明会風景当日の留意点など事前確認風景当日作業終了後に