ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

ページ
50/84

このページは 東日本大震災・福島原発災害と広島大学 の電子ブックに掲載されている50ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

40第3章 被災地に寄り添う②住民の一時立ち入り支援各機関の対応異なり調整に苦慮病院診療支援部 診療放射線技師 西丸英治 私が広島大学緊急被ばく医療チームとして派遣されたのは第4班(平成23 年3月22 日?26 日)が最初で、第11、17、24、32 班にも参加した。 最初のころは、自治会館およびオフサイトセンターの活動が中心で住民のボランティアサーベイヤーの管理や原発事故後の汚染を伴う外傷者の搬送フロー作成に従事していた。その後、原発の状態が落ち着き始めた頃より、避難指示区域(警戒区域)内の住民が自宅に荷物を取りに行く「一時立ち入り」の医療班への参加が主な活動となった。 一時立ち入りへの参加要請は、私が派遣されていた第17 班の時にあり、会場設営、リハーサルそして第1回目の一時立ち入り(田村市の古道体育館;5月21 日)に参加した。このプロジェクトには、経済産業省(一時立ち入り全体の統括、会場および車両関連)、東電(住民の誘導および被ばくの管理)、厚生労働省、文部科学省、広島大学、放医研、災害医療センター、弘前大学(医療班)、DMAT(救護班)、電事連、全国の病院や研究機関、教育機関(住民および荷物のサーベイ)、地方自治体の職員、地元の警察や消防、ペット保護のボランティア等、多数の機関・団体が参加した。 私は、一時立ち入りが実施された田村市の古道体育館、南相馬市の馬事公苑、双葉郡川内村の川内村村民体育センター、双葉郡広野町の広野中央体育館の4カ所全てに関わった。主にホットゾーンとフロア統括を行ったが、多くの問題があった。 ホットゾーン内での活動は最たるものだった。バスからの住民の誘導、靴の防護カバーの除去、バスおよびホットゾーンの荷物の運搬、住民と荷物のサーベイの方法や基準、サーベイ後の住民と荷物誘導など、解決しなければならないことが山積みであった。 第1回目の終了後に様々な問題点について医療班で統一化を行ったが、詳細は各実施場所で対応することにした。場所によって各機関の対応が異なり、その度に調整しなくてはならなかったからである。円滑に実施できないために広島大学医療チームが穴埋めをしたこともあった。医療チームの皆様の協力には非常に感謝している。 今回、一時立ち入りに医療人として参加できたことは非常に良かったと思っている。常に住民の立場に立ち、敬意をもって活動するよう心がけていた。当初は住民から苦情も多かった。しかし実施前に各関係機関とのミーティングで意見を出し合うことにより一体感が生まれ、苦情も減少した。コミュニケーションの重要性を改めて痛感した。電事連とホットゾーン内での活動を調整中