ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

36第3章 被災地に寄り添う①県立医大での内部被ばく特別健診オフサイトセンターでのミーティング研究者が率先して現地で活動を                     技術センター 放射線管理技術班 班長 菅 慎治 平成23 年5月29 日~平成23 年9月1日までの隔週と12 月11 ~ 17 日、二次緊急被ばく医療機関である福島県立医科大学に派遣された。県立医大で行われたホールボディカウンター(WBC)を用いたWBC 検診での体内放射能量の評価作業、福島第一原発からの緊急搬送対応のための訓練、およびオフサイトセンターで情報共有のために定期的に行われていたミーティングへの参加が主な活動である。 WBC 検診は福島県立医科大学付属病院スタッフおよび長崎大学からの支援スタッフの共同で行い、福島第一原発から20km 圏内で業務を行った消防関係者を主な対象とした。多くは20km 圏内の自治体関係者であり、福島第一原発で水蒸気爆発が起こった後も屋外での活動を行っていた。 緊急搬送訓練は消防関係機関や自衛隊と県立医大病院スタッフおよび長崎大学支援スタッフと共同で行った。震災後の緊迫した状態であり、自衛隊との訓練の中には県立医大のグラウンドをヘリコプター着陸場所とし、数台のへリコプターによる大規模な緊急被ばく患者搬送訓練も行われるなど、常に緊迫した状況であった。 県立医大がある福島市も環境中の放射線量率や放射性物質は通常時とは大いに異なる状態のため、WBCを用いた体内放射能量の評価を行うことは難しい作業である。特にWBC が開放型のため高バックグラウンドによる影響を考慮した評価方法やWBC 周辺への放射性物質による汚染防止対策は非常に難しいことである。 WBC を用いた体内被曝測定に対応できる人材は非常に少なく、また装置ごとに特性があり、正しい評価を行うには多くの知識と経験が必要である。このためWBC やその他の放射線測定機器がある場所で勉強を行えるような人材育成のシステムが必要である。 今回の様な非常時に技術職員である私が貢献できたことは非常に有意義なことだった。しかし通常業務を行いながらの活動を、それも一部の人材に負担させるような業務形態は問題ではないだろうか。人材補充等の対策が必要である。また、このような非常事態にこそ、常日ごろから放射線について研究されている教員が率先して現地での活動に貢献するべきであると思う。