ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

35①県立医大での内部被ばく特別健診 平成23 年4月19 日、第10 班として自治会館でサーベイ活動中、福島県立医大から広島大学放射線技師に支援要請があった。常駐していた長崎大学放射線技師と原子力安全協会技術員が翌週より月1回のみの派遣となるためのサポートであった。急きょ県立医大を訪問すると、ちょうど除染棟の医師、看護師、放射線技師長、長崎大学医師を中心に今後の業務について協議しているところであった。 二次緊急被ばく医療業務としての主な業務は、体内に取り込まれた放射性物質を計測するホールボディカウンター(WBC)の機器精度管理、内部汚染検査、患者外部汚染検査であった。その他日常管理業務として、WBC 室の清掃管理、WBC のバックグラウンド測定、環境放射線量測定、ICU・NICU 職員の甲状腺モニタリング、託児所の甲状腺サーベイ、ドクターヘリの汚染検査など多岐にわたった。 今後、県立医大の放射線技師が順次対応していくが、通常病院業務で対応できないこともあるので広島大学の放射線技師に引き続きサポートしてほしいとの要請であった。朝夕の自治会館サーベイ調整会議に、県立医大への支援が加わった。 この時期に行った活動は,発災時の汚染傷病者搬送・対応シミュレーション、 細井義夫教授とのWBC 校正などであった。また細井教授による週3 日の「被ばく外来」診察も行われた。 5月12 日から16 日まで派遣された第16 班の活動は、県立医大災害対策本部での「放射線健康相談外来」の開設準備と実施であった。細井教授、長崎大学の大津留晶先生が外来で診察することになった。検診対象者は作業従事者(警察、消防等職員)県立医大の二次緊急被ばく医療を支える病院診療支援部 副部門長 木口雅夫を優先した。検診内容は行動調査、PTSD 問診、血液検査、尿検査、WBC、放射線健康相談としての診察のほか、精神科ケアが必要な場合は精神科コンサルテーションを行った。 WBC は計測時間、検出効率の関係でNaI(Tl) ディテクタのみで線量評価を行った。また診療放射線技師の対応については、WBC 測定までの円滑な業務フローについて遊佐放射線技師長及び東京大学スタッフと協議を行った. 5月16 日、双葉消防職員10 人と自衛官1人が放射線健康相談外来を受診された。WBC から計算された預託実効線量は0.015-0.05 mSv(134Cs,137Cs のみ)で非常に少ない量であった。これは作業時の全面防護マスクによって防護されていたことが幸いしたものと考えられた。 二次被ばく医療機関をサポートし、継続した支援を行うことは三次被ばく医療機関としての責務である。そのためには診療放射線技師が貢献できるような基盤づくりと適切な対応、迅速な行動力が必要と考える。NaI(Tl),Ge 検出器を備えるWBC で測定中の職員除染棟で福島県立医大、長崎大学、東京大学スタッフと共に