ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

34第3章 被災地に寄り添う東京電力福島第一原子力発電所事故に対する主要な対応前緊急被ばく医療推進センター副センター長、東北大学大学院医学系研究科教授 細井義夫 平成23 年3月12 日は東京で勤務していたが、午前10 時ごろに文部科学省から携帯電話に連絡を受け直接、放射線医学総合研究所(放医研)に向かった。3月13 日午後に自衛隊のヘリコプターで福島市に到着。福島県災害対策本部で福島県立医大救急科の田勢長一郎教授とお会いし、現状を伺うとともに活動場所として福島県自治会館4階の部屋を紹介され、活動拠点とした。 同日午後にDMAT の医師らから「二本松市での避難住民のスクリーニングで自衛隊の除染用の水がなくなったが、どうしたらよいか」との質問を受けた。住民を円滑に避難させるためにスクリーニングレベルを6,000/10,000/13,000cpm から100,000cpmに上げることを提案し、福島県は3 月14 日から100,000cpm に変更した。 同日午後5時ごろに県職員と共に福島県立医大に行き、病院幹部に対して福島原発事故で予想される放射能汚染と防護法について説明をした。また、当初体育館となっていた被ばく患者受け入れ場所を除染棟に変更し、自衛隊の除染設備置場所をグラウンドから除染棟脇に変更することを提案して了解を得た。 午後7時ごろから臨床講義室において、臨床科の教授、准教授、看護師長など100 名以上に対して予想される放射能汚染と防護法について約1時間講義を行った。講義の後に、胎児に対する放射性ヨウ素の影響やイソジンガーグル服用の放射線防護効果などについて議論した。参加者の知性の高さと学究的態度は強く印象に残っている。さらに、原子力安全研究協会に電話をして福島県立医大のホールボディカウンタ(WBC) の校正を依頼した。 3月14 日午前0時30 分ごろに携帯電話に文部科学省より電話があり、20km 圏内に残る入院患者等避難困難者の緊急避難に伴うスクリーニング実施の指示を受けた。広島大学医師2名、看護師2名と放医研職員2名で南相馬市の相双保健所に行き、スクリーニングを実施した。スクリーニングでは、住民の避難誘導を行っていた警察官や屋外活動をしていた避難住民の体表面汚染は平均値で13,000cpm を超えており、スクリーニング基準の100,000cpm への変更が正しかったことを確信し安堵した。 平成23 年5月下旬から9月中旬まで福島県立医大で毎週実施された警察官・消防士等のWBC による内部被ばく検診に参加して、検査結果の説明等を行った。平成23 年8月から広島大学で福島からの避難者を対象としたWBC 検診を開始した。平成24 年7月から南相馬市立総合病院で放射線カウンセリング外来を毎月1回行っている。福島第一原子力発電所内から避難してきた人のスクリーニング(3月14 日、南相馬市の相双保健所)