ブックタイトル東日本大震災・福島原発災害と広島大学

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概要

東日本大震災・福島原発災害と広島大学

25③住民の被ばくスクリーニング川俣町での小児甲状腺サーベイの実際大学院医歯薬保健学研究院 皮膚科学 准教授 三原祥嗣 平成23 年3月29 日から4月5日まで現地に滞在し、29 日は福島県立医大救急科との情報交換、30 日は川俣町にて小児の甲状腺サーベイ、31 日はオフサイトセンターで自衛隊、福島県立医大救急部、広島大学との被ばく患者の移送法のすり合わせ、4月1日~5日はJ ヴィレッジで医療チームの立ち上げを行った。 3月28 日~ 30 日にかけて比較的、線量の高い川俣町および飯舘村での小児の甲状腺被ばく調査が実施された。私は30 日の川俣町での責任医師として活動した。 当日は放射線の測定技師チームとともに川俣町に向かい、測定会場の空間放射線量の測定、測定会場の設営・確認を行った。その後夕方までNaI(Tl) シンチレーション式サーベイメータを用いて小児住民の甲状腺の被ばく線量の測定を行った。 前日までに田代聡教授と厚生労働省DMAT 事務局の近藤久禎次長とで、バックグラウンドの被ばく線量が低くサーベイに適した場所を設定していただいていた。また川俣町の職員もとても協力的で、調査そのものは大きな混乱なく行われた。避難している住民の一部には、衣類などの汚染があり除染が必要である者がいたが、スクリーニング基準値を超える者はいなかった。 測定は公民館内で行われたが、館内の空間線量を低く抑えるため、靴はスリッパに履き替えてもらい、さらに公民館の玄関の扉とその前の風除室の扉を同時に開放しないように工夫した。調査対象の子どもの多くは親と一緒に調査に来ていた。検査結果を伝えるとみんな安堵していた。 住民が今後移動する可能性もあるため、連絡先として自宅の電話番号ではなく携帯電話番号を記入してもらうようにした。しかし学校の教師が引率してきた場合、連絡先が分からないことがあり、連絡体制については課題が残った。館内の空間線量を低く抑えるため、玄関での靴の履き替え、扉の開け閉めを工夫した小児甲状腺サーベイ受付の様子