HU-plus(Vol.2)2017年1月号
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Q趣味は?A研究Q専門分野外の本で関心のあるジャンルは?A天文学、紀行物Q休日の過ごし方は?A研究Q好きな広島の「食」は?Aお好み焼きQ広大で学ぶ学生のご家族に一言A日本の人口高齢化の課題解決と学生の成長のために一生懸命頑張ります。Q少年時代の夢は?A自由人、作家Q尊敬する人物とその理由は?Aチャールズ・ユウジ・ホリオカ先生。立派な業績を残していながら謙虚なところを尊敬しています。Qこれだけは絶対誰にも負けない、負けたくないものは?A失敗の数、挑戦の数Q最近の日本の社会や文化について意見があればAイライラしている人が多い、面倒くさがりが多いと思う。Q1カ月休暇がとれたら、何をしたい?A研究Qご家族についてのユニークなエピソードがあればA娘の服がほとんど貰い物Q得意なスポーツは?A野球Q好きな言葉、座右の銘は?敬天愛人Create your own realtyFail early, fail often, and fail cheepバックパッカー時代の角谷准教授Q&A角谷准教授に一問一答質の高い日本の介護制度 角谷准教授は医療経済や公共政策の研究者。専門家の目に、日本の介護や医療制度はどのように映っているのだろう。 「介護サービスで言うなら、日本のそれは西欧、特に北欧あたりに比べて立ち遅れていると見られがちです。でも、半分は誤解です。たとえば、北欧のシステムは一部本当に優れているところもありますが、それはメインストリートのショーウインドーを覗いて『すごいなあ』と感心される程度で、国全体でみれば日本の方がよほど優れています」 角谷准教授の提言は明快だ。たとえば、自らの著書「介護市場の経済学」(名古屋大学出版会、2016年)の序文でこう述べている。「既存の価格と品質を介護サービスの選択要因としたモデルから、価格を排除し、品質のみを選択要因にしたモデルに移行しよう」。もともとは角谷准教授が英語で書いた著作だが、それを自身で日本語訳にして出版。日本の介護市場を例に国際的視野でその政策モデルを検証している。 従来の価格と品質が選択モデルとなるサービスでは、「高価で高品質」から「安かろう、悪かろう」まで幅広い品質の財が生まれる。 「これは、日用品などの一般的な財では問題ありませんが、ヒューマン・サービスのように、低品質が利用者の生活の質を著しく低下せしめる財には適しません。富裕層はそれでも良いが、経済的に裕福でない人の生活の質が、介護によって著しく低下してしまうことは、ヒューマン・サービスの本来の趣旨と相反します」 そのサービスの質において、日本は世界のトップレベルにあるという。特に、介護士の質は高い。 「高齢化率の高さでも、世界のトップを走る日本。その介護サービスや医療サービスに世界の注目が集まっているんですよ。みんな日本に学べと」 角谷准教授は、これまで世界数十カ国を、バックパックで巡ってきた自由人でもあり、カナダに1年、オーストラリアに4年半の留学経験もある国際派研究者だ。独自の視点で福祉や経済を見る。だから、言葉に重みがある。超高齢化社会で重要な立場を担う存在に 角谷准教授は、いまタイの介護保険制度導入の指導も行っている。「タイは、いま、日本と同じように高齢化社会の進行で、介護の問題にどう対処するか、議論が高まっています。そのために、介護サービス先進国の日本の知恵やノウハウを学びたいというわけです。昨年はタイの大学研究者十数人を、本大学・ワークショップへ受け入れました。今年は私が長期間現地へ赴きます」 一方で角谷准教授は広島大学「医療経済研究拠点」のリーダーにも任命されている。 「総合大学の強みを活かしながら、医療経済の世界的研究拠点につくりあげていければと思っています。今後の超高齢社会で重要な立場を担える存在を目指したい」 柔らかな口調だが、その言葉には熱い思いがこもっている。東京の国際学生寮で暮らした経験もある。130カ国以上の出身学生と生活をともにしながら、「毎朝、5カ国ぐらいの言語で朝の挨拶をしていました」。視線は、常に世界に向いている。かどや・よしひこ1976年新潟県生まれ。2005年早稲田大学大学院公共経営研究科修士課程修了。2010年シドニー大学大学院経済・ビジネス研究科博士課程修了、大阪大学社会経済研究所特任助教に。2011年Ph.D(シドニー大学)取得。名古屋大学大学院経済研究科特任准教授などを経て2016年から現職。016

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